2017年1月から12月までの売り上げはどうだったか。
各社の決算は出ているが、自分で計算するのは至難の業である。
一つの薬でも2社、3社で販売しているし、為替レートも考えなくてはならないからだ。
自分で数字を出しても、メジャーなところから別の数字が出てしまったら、意味がなくなる。
そこで、国際医薬品情報の数字を待つことにした。
先週4月9日号にようやく出たので、昨年、一昨年の数字と合わせて表にして、いろいろ考える材料とする。
1位は依然としてヒュミラadalimumabである。
2002年に承認されてから成長を続け、2011年、ファイザーのリピトールが108億ドルを売った年には82億ドルで4位につけた。
(この年、2位はサノフィのプラビックス97億ドル、3位はJnJのレミケード89億ドル)。
そして翌2012年は、リピトール、プラビックスが特許切れで急落、微増のレミケード91億ドルを抜き去り、96億ドルでトップを取った。
その後、驚異の二ケタ成長を毎年続け、トップを6年間維持している。
レミケードやエンブレル同様、物質特許は切れているのに、抗体医薬は様々な特許に守られているから、バイオシミラーはなかなか入れない。
189億ドルとは、アッヴィ全売り上げの67%を占める。
この一つの売り上げで、日本のメーカーならいくつでも買収できる。
逆に言うとこれがなくなると、かつてのアボットというメガファーマは日本企業ほどになる。
3位はセルジーンのレブリミド。
サリドマイドを多発性骨髄腫に使ったベンチャー企業として出発したが、その誘導体はここまで成長した。この会社は多発性骨髄腫の薬を他にももつ。
6位のBMS、Eliquisは急成長している.
9位のリバロキサバン同様、生活習慣病を対象にした低分子医薬で、今これだけ売れるのは珍しい。
小野の創製したオプジーボは続伸。ベストテンに入った。
キートルーダも87位から19位。
16位のテクフィデラも面白い。
多発性硬化症の薬だが、一般名がフマル酸ジメチル。
フマル酸のメチルエステルである。合成の部屋なら棚にいくらでもありそうだし、簡単に作れる。それが、ブロックバスターになった。
バイオジェンは抗体などバイオ医薬のメーカーだと思ったが、これが稼ぎ頭になっている。
注目すべきはギリアド社の抗ウィルス薬。
昨年3位のC型肝炎薬ハーボニーは半分以下の売り上げで15位。一昨年の3分の1である。また昨年16位だったソバルディは、9.6億ドルとなり、ブロックバスターでなくなった(113位以下)。
しかし、昨年80位だった抗HIV薬ゲンボイヤが22位、63位だったC型肝炎薬エプクルーサが24位に躍進、交代が進んでいるが、まあ、なんとめまぐるしいこと。
リリカ、アドベアの低分子薬も残っていて、抗体医薬の進出も一休みした感じ。
田辺製薬創製のジレニアも健闘している。
昨年20位だった塩野義創製のクレストールは、2016年に特許が切れており、今年は36位に落ちた。
武田リュープリンが61位、アステラスのプログラフが70位、第一三共のオルメサルタンが85位。いずれも順位を落としている。ベシケア(アステラス)は15%減の9.4億ドルでブロックバスターから脱落した。
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