3月から何枚か庭の野菜の写真をとっていた。
記録として載せておく。
この時期は桜の開花など植物にとって変化の大きな時期だ。
千駄木菜園のアブラナ科はトウが伸び、食用に適さなくなる。
2025₋03₋10
1番畝の白菜は花芽が出てきた。
今季は1番畝に13株植えて、大きなものは4キロもあった。きちんと育って葉が巻いたものから順に食べたから、残っているものは市販品に劣り、さらに花まで咲いてしまった。
2025₋03₋13
白菜5株、大根、キャベツ
白菜は700グラムから2.3キロまで。
食べられないことはないが、人にあげられる品質じゃない。
さて、どうやって処分しよう。
毎年こんなことをやっていていいのだろうか。
定年退職から丸3年経った。
「残された人生を悔いのないものに」
「最後まで生き生きと暮らしましょう」
とはよく言うが、では実際に何をすればいいか、なかなか思いつかない。少なくとも家でボーっとしていて食事時間を待っているという生活は避けたい。
そこで退職後とりあえずアルバイトでも始めたが高齢者が気軽にやれる仕事はあまりなく、ベーカリー、居酒屋の過酷さを学んだ。今はスーパーの朝の品出しと、貸農園管理人のアルバイトをしている。1日3時間だが体力的にきつく、そのうちできなくなるかもしれない。
動けるうちに違うことをしたほうがいいのではないか?
かといって趣味でやりたいことがあるわけでもない。
仕事を変えれば、交友関係、行動範囲が変わって何か面白いことがあるのではないか?
そう考えるといつも見ているヤフーのネットニュースなどの横にいつも求人広告がある。
そこにエン派遣という求人会社が
医学・医療系の編集やアシスタント業務【10時開始/即日~/駅チカ!】
編集・校正・制作・ライター
東京都港区赤坂見附駅より徒歩4分
時給1750円、残業ほぼナシ
と出していた。
今ならまだやれるかもしれない。退職後の仕事探しシリーズは、「65歳からの~」で始まったが、この夏で69歳になってしまう。
退職したときはデスクワークよりも体を動かす仕事、まだやっていない仕事を選んだが、現実はきつく、また期待したほど面白くもなかった。
3月14日、ダメもとで応募してみた。
3月18日、土日を挟んで、エン派遣でなくマイスタッフという会社からメールが来た。
エン派遣だけでなくマイスタッフにもweb登録して履歴書を送ってくれという。
3月19日、マイスタッフ社から「上記の案件は、どうしても出版社での編集専任経験が求められてしまうため、お見送りとさせていただければと存じます。」と連絡が来た。
しかし、他の会社を紹介したいという。
希望の年収、月収はあるか、と言われたが、こちらは年金が減らない程度、ダンスも野菜つくりもしたいので、週3日程度のアルバイトが良いと伝えた。時給は1750円という。
現在まで細々と続いているスーパーと貸農園の時給は、3年で徐々に上がり、最近また上がってようやく1175円と1180円。どちらもずっと都内最低賃金(1163円)に限りなく近く設定されている。
ちなみにバイトルによれば東京都のアルバイト・パートの平均時給は1442円らしい。(2025年4月にバイトルで掲載された求人データをもとに算出)
時給は特に重要視していないが、高いほうが良い。高い職場のほうが(偏見だと言われるかもしれないし、例外もあるが)能力が高く面白い人が集まる可能性が高い。闇バイトのように高すぎるのは怖いが1750円というのはちょうど良い。
3月20日、庭でぼーっと大根をみていた。
3月21日から29日まで飛鳥IIに乗ることになっている。
すでにトウが立ち始めたダイコンは、東京に戻ったら、筋がヘチマのように網目になって固くなる。食べられなくなってしまうので、前日に残っていた宮重大根をすべて抜いて地中に埋めることにした。
2025₋03₋20
今季は宮重総太りを第一次に14本、第二次に10本、計24本育て、ほぼすべて1キロ以上で最大2086グラムだった。残っていた6本は育ちの悪いものだったが、それでも5本は750~950グラムあった。6本のうち半分を冷蔵庫に、半分を地中に埋め、8泊9日の飛鳥クルーズに出かけた。
太平洋航行中もメールで連絡があり、クルーズが終わった翌週の4月2日に職場見学をすることになった。
3月29日、九州から帰宅すると千駄木の春もだいぶ進んでいた。
2025₋03₋30
3番畝の玉レタスとサニーレタス。
妻が朝のパンにはさむくらいなので、まじめに作らなかった。
花しかなかったフクジュソウ(写真左)も葉が茂っている。
2025₋03₋30
5番畝は秋から育てている春夏キャベツが大きくなっていた。
11月11日に種まき、19日に発芽。
年が明けて2月26日、19株を定植したもの。
2025₋03₋30
昨年12月にネットで購入したネクタリンとすもも。
土の無い素掘り苗で送られてきたから活着するか心配だったが新芽が出て花が咲いた。
4月2日、マイスタッフのSさんと地下鉄の出口で待ち合わせ、H社の見学(面接?)にいった。もしあれば成果物(論文など)を持って行ったほうが良いと前もって言われたが、それほど真剣ではないのでので、手ぶらで家を出た。しかし途中で思い直し、団子坂の本郷図書館に寄り、話のタネにと「新薬誕生」と「スパイス爆薬医薬品」を借りた。
H社での面談は私の野菜つくりの話など交えてなごやかにすすみ、すぐアルバイトで勤務することになった。しかし4月はすでにスーパーと貸し農園のシフトが入っているので、半日単位で空いている時間に出社し、5月から月水木の週3日、1日6時間程度働くということで合意した。コアタイムなしのフレックス、在宅勤務の人が多く、お菓子とペットボトルのお茶は常備されていて自由に飲食できるというのが今どきの会社だった。
ここでようやく分かったのだが、エン派遣(求人情報サイト)→マイスタッフ(人材派遣会社)→H社(実際の勤務先)という流れになっていた。採用側とアルバイトの間に2つの会社が入っている。私は68歳で派遣社員となった。
4月8日、午前中北千住の農園で作業のあと、いったん家に戻る。野良着からいちおう着替えて14時からH社に初出勤。
今後の私の出勤日をすり合わせた。私の4月出勤可能日は、マイスタッフ社Sさんに伝えていたのだが、それがH社にメールで送られていて、それを見ながら調整した。
そのメールを何気なく見ていると後ろのほうにマイスタッフ社とH社の間で取り決めた私の採用条件が書いてあった。
素早く見ると、時給2500円、交通費往復360円という。
つまりH社は私を時給2500円で雇い、そのうち30%を派遣会社(マイスタッフ)がピンハネするのである。
これはひどくないか?
しかしネットで見るとこれは派遣会社として普通のようだ。
私が派遣会社の社員となり、社会保険なども含めた福利厚生費をマイスタッフ社が払い、私が失職したら次の仕事を探すとか、すべてマイスタッフ社が面倒を見るというなら分かる。しかし私は紹介されただけでその後は健康保険を払ってもらえるわけでもなく、一切世話してもらえない。
これなら、せいぜい不動産屋のように、1か月分の給料相当金額を手数料として取るくらいが妥当であろう。納得いかないままマイスタッフ社の勤務報告のサイトを開き、勤務時間を入力している。(H社長もこのマイスタッフ社のサイトで承認する)
4月2日に地下鉄の出口で会って、改札で別れるまで、Sさんが私に対して非常に丁寧だった理由が分かった。私はマイスタッフ社にとって毎月売上金となる商品だったのである。
4月は私がすこしずつH社になれるとともに、野菜も成長していった。
残っていたアブラナ科の三太郎大根もトウが立った。
2025₋04₋22
7番畝、三太郎大根
宮重大根24本のほかに、発芽、トウ立ちが遅い三太郎大根をサツマイモの後の空き地に11本育てておいた。時期をずらせば便利だと思ったのだが、ひと冬35本もの大根は多すぎた。定年退職すると差し上げる人も減り、持て余す。
2025₋04₋24
しかしトウ立ちが始まったので抜かねばならない。
H社での初仕事は、アンチトロンビン製剤の販売に合わせて行われた講演の再現原稿を作ることだった。N社がオピニオンリーダー的なG医師に依頼した講演を要約して販売促進パンフレットか自社PR誌に載せるらしい。
テープ起こしされた1万5000文字ほどの講演録から、5000文字ほどのテキストと使われたスライドも適当に合わせ、原稿にする。見出しを考え、再構成しなくてはならないから頭を使う。
一か所辻褄が合わなかったから参考論文を読んだら、演者先生が間違えて逆のことを話されていた。
もちろん直した。しかしこれは、本来やるはずだったH社の社員はもちろん、N社の担当の人も、そして読者もほとんど気が付かないだろう。それに、こういうものは作ってもほとんどの人はまともに読まないものだ。
次の仕事は卵巣がん患者が使うアプリの中の文章をチェックすることだった。使われている参考論文のうち、ガイドラインが改訂されているようなものはページ数が変わるから直したり、他の参考となるサイトも存在するかどうかURLをチェックする。しかし読んでいると専門的なところで頭をかしげる表現もある。
こういうものは直すかどうか考えるときに私の時給が頭をよぎる。
いくらで依頼された仕事なのか考えれば、私がこの作業にかけられる時間はおのずから出てくる。安く仕入れたものなら、それなりに拙速、雑にしないと採算がとれない。
また、私は仕事をしたという証拠に、いろいろ指摘したいが、指摘されたほうは面白くないかもしれない。自分では決して書かないような分かりにくい表現、変な日本語も、サイエンスとして大きく間違っていないなら、そのままにしたほうが良いのかもしれない。目をつぶるということも大事か。
2025₋04₋24
三太郎大根は宮重よりずんぐりしている。
カツオのようだ。
H社の仕事は、製薬会社から直接来ることもあるが、日経メディカル開発、CMCエクスメディカ、真和、協和企画など医療専門の広告代理店から仕事が来る。これらの会社は製薬会社や病院、公的機関など、医療分野でのマーケティング活動、啓蒙活動を、動画作成も含め情報提供面でサポートすることを事業目的とする。顧客は税金が投入されている社団法人などもあり、すべて金持ちである。それにしても、こういう広告会社がこんなにあるとは初めて知った。
H社はこういう広告代理店の下請けであり、H社のような医療専門のソリューション提供会社はいっぱいあるのだろう。
つまり、(製薬会社→)講演の先生→製薬会社→医療専門広告代理店→H社→私に指示してくれる隣席のYさん→(派遣会社)→私。
という流れである。
講演の先生がそのまま自分で書けば一番簡単で無駄がないが、末端の私まで来ると、時間と費用が莫大になる。各ステップでマージンを3割とれば、その下請け価格は70%、それが2段階なら49%、3段階で34%に押さえつけらえることになる。
これが社会の仕組みだといえばそれまでだが、自分が末端に来ると、その無駄を考えざるを得ない。
コメの価格で流通段階の中間者のマージンが注目されたが、金がある医療業界はもっと中間者が多そうだ。ネット社会になり生産者と消費者が直接結ばれる例も増えてきたが、この業界はネット時代以前よりもさらに中間業者が増えている気がする。お金さえあれば業者に委託、丸投げすればいいという仕組みができているのだろう。無駄とみるか、経済を回しているとみるか。
H社は製薬企業からの直接の依頼も増えている。そちらが多くなれば真和、協和企画などと肩を並べる広告代理店となるのだろう。
社員は4月に私、連休明けの5月にもう一人はいり、11人となった。成長期である。
孫の成長を見るようだ。せっかく縁のできた会社なので、年寄りはみなが幸せになるお手伝いができればよい。
あすはお昼に上野の五条天神に業績発展のお参りに行き、そのあと昼食会という。歓迎会など今までのアルバイトではなかった経験で、ありがたく思う。
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