2017年4月16日日曜日

第106 同志社ハリス理科学校の薬学

薬学雑誌1892年度p610

2005年に設立された同志社女子大薬学部ではない。
122年前の明治256月号雑報欄の記事である。

同志社ハリス理科学校(明治239月開校、後の理工学部)に薬学科が新設され、9月から開校するという。
この年は5月に広島薬学講習所、神戸薬学講習所が開設されている(薬誌1892年度p495-496)。全国的に薬剤師の人気が高まっていたのだろうか。
記事は、実験室、備品などが整備されつつあることを述べ、11条からなる同志社薬学科略則を記している。・・・第二条 入学志願者は満17年以上とす・・・第四条 学業年限は3か年とす・・・第七条 束修、金2(入学のとき速納)、授業料一か年、金15円、校費、金50銭(毎期の初め速納)・・・などだ。

ところがその後、薬誌には記事がなく、ネットにも情報なくて同志社薬学科については数年放っておいた。先日、東大明治新聞雑誌文庫で製本していない薬誌147号(明治275月号)を手に取ったら、後ろに同志社薬学校の生徒募集という1ページ全面広告があった。
授業科目は、
第一年級:化学、物理学、植物学総論、生理学及び動物学、金石学、化学及び金石学実習、独乙語、自在画。
第二年級:植物学各論、生薬学、生薬学並びに植物学実習、製薬化学、調製学、定性及定量分析実習、実地製錬、独乙語。
第三年級:薬品鑑定講義及び実習、調剤学実習、実地製錬、衛生化学講義及び実習、黴菌学、裁判化学講義及び実習、有機体合成法並びに新薬論、薬剤師規則並びに衛生法規、独乙語である。
教授陣は、教頭米国理学士・下村孝太郎、ドクトル・オブ・メヂシン・児玉信嘉、飛鳥井孝太郎、須田勝三郎、薬学士・小野瓢郎。教授顧問として医科大学教授・下山順一郎、同・丹波敬三。
同志社薬学科の情報があまり残っていない理由は、明治287月に第一回卒業生8名を出すも(薬誌1895p660)、翌年廃止されたからである。在校生は京都薬学校に移った。

広島、神戸の講習所も閉鎖された。明治23年に医師の調剤権を認めた薬律が施行され(第97-99話)、29年は法改正を目指して薬学関係者が苦闘していたころである。

薬誌147号(明治27年5月号広告ページ)

薬学昔むかし


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