台風19号が過ぎ、13日は晴れたが14日はまた雨。
家から傘を差し、日暮里、根岸を歩いてダンスホール新世紀に来た。
電車なら鶯谷駅南口からすぐ
2019-10-14
線路上の陸橋から見える。
陸橋から下りれば、いきなり鶯谷らしい怪しい雰囲気。
かつては風雅な土地で、火事の多かった時代から日本橋の大店は別邸をたて、明治には文人墨客が住んだ。しかし、戦後は連れ込み旅館のほかにワールド、スター東京などのグランドキャバレーで賑わい、ピンクの街になった。
なお、新世紀と同じビル、最近オシャレな東京キネマ倶楽部はもとグランドキャバレーを改装したという。住所を見ればワールド会館6Fとあったから、鶯谷ワールドはここにあったのだろうか。
スター東京は2003年頃まで頑張ったものの、今は建物さえもないらしい。
2019-10-14
初めて来たのはダンスを始めて1年3か月たった2000年7月。
とても女性を誘えるほどの腕(足)ではなかったが、サークルの人に連れてきてもらった。
1階入り口。少し緊張。
昭和の時代、ダンスホールはあちこちにあったようだが、私がダンスを始めたころ、大きな店は、ここ新世紀と新宿歌舞伎町のステレオホール、有楽町の東宝ダンスホールの3つだった。
しかし、私も二回ほど行った新宿ステレオホールは、開設から50年余、2009年11月末に閉店。
有楽町の東宝は一度も行ったことがないが、来月2019年11月末日に閉鎖する。
これらよりずっと小さいが、私が2001年から2003年にかけて練習に使った赤羽ニューフロリダも、その後まもなく閉店した。
いよいよ、ダンスホールはここ鶯谷の新世紀だけになる。
この日は体育の日で、特別割引デー。
生バンドも入っているのに入場料1000円。
普通は生バンドのある14時以降は2700円、14時前のCD音楽のときは1200円である。ホールは2階から3階まで吹き抜けになっていて、受付、ホールへの入り口は3階。
4階に更衣室とロッカーがある。
3階は有料のテーブル席、フロアを見下ろしながら食事ができる。
映画 Shall we dance? で草刈民代が本木雅弘と会っていた場所である。
この映画を見たときはまだ自分がダンスをするなど想像もつかなかった。
ステージを奥に見て、右にバーカウンターがある。
ここで知り合った異性とお酒を飲みながら談笑できればいいが、一度も経験はない。
手前右手には教師席があり、男女のダンサーが座っている。
一人で来て、他の客に声を掛けられなくともお金さえ払えば彼らに相手をしてもらえる。
しかしダンスホールの醍醐味は、未知の素人の異性と踊ることだろう。
かつては職場の異性、グループで踊りに来る場所だった。そのような世代が後期高齢者になってしまった今、ダンスを密かに習ったものがわくわくしながら来る。
15年ほど前は、確かに魅力的な女性が一人で踊りに来ていた。
しかしこの日は踊りたいと思う人が誰もいなかった。
ダンス人口が減ったということもあるが、明るい公共施設で500円、1000円でパーティーが頻繁にあり、スポーツとして安いほうに行く。
新世紀も早い時間は1200円にして値段的には十分対抗できるが、ダンス愛好者はムードよりも上手な人が集まるパーティにいく。ひとたび良い評価が定着すれば、さらにうまい人が集まる。
ゴージャスなダンスホールは今の時代に適応できていない。
かつてのような異性との出会いは難しい。
客は純粋に踊りだけが目的となっている。
女性は2000円払うなら、アットホームなダンサーが交代でスポーツ的に踊ってくれる小規模なダンスパブに通うだろう。池袋メモリー、西川口エスパス、川越フォルテシモ、大宮ラブリー、蕨テンダー、西浦和の輝、、、中には学連出身者もいる人気店もあるが、いくつかは閉店した。
ステージでは2組のバンド(オーケストラとコーラス)が交互に演奏していた。
一曲終わるとダンスをしていた客たちはステージを見て拍手する。
競技ダンスの練習をガンガンしていた我々と違い、良き時代を知る優雅な人々である。
ダンスホール新世紀。
2012年、思い切って早期退職を決めたとき、失業したら新世紀でアルバイトしようかと思った。同時に千駄木の家を買ったから自転車で通うことまで想定したが、幸か不幸かその機会はなかった。今後もなさそうである。
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