2024年4月7日日曜日

ナバナ、のらぼう菜、かき菜の違い。同じもの?

秋冬野菜はアブラナ科が多い。

白菜、大根、キャベツ、小松菜、カブ、野沢菜、水菜、
春になると一斉にトウ(薹、抽苔)が立ち、花が咲く。
菜の花である。

トウが立つと、大根の根など可食部が筋っぽくなるし、白菜などは葉の間隔が広がって柔らかい部分がなくなってくる。だからトウが立つ前に出荷され、町の人がトウを見ることはない。(ブロッコリーはトウを食べる)

しかし自分で作っていると食べきれずに春になり、多くがトウ立ちする。そしてトウも食べたくなる。(いや、食べたいわけじゃないが、捨てるのがもったいない)
食べようとするが妻は「食べるものじゃない」といって使ってくれないため、トウ立ちはできれば避けたい。

白菜は2月終わりに蕾ができ、トウ立ちの気配がした。
そこで太陽を浴びるより収穫して暗室に置いたほうが、トウ立ちは防げるだろうと思って取った。
2024₋03₋16
しかし暗室でも成長は続け、トウが伸び、蕾はついに満開となった。
また冷蔵庫に保存したものも中心でトウがのびた。
根はないから、葉っぱから水分を移動させ育ったのか? 
これでは葉が筋っぽくなるわけだ。

菜の花は春の光を燦燦と浴びているが、トウ立ちと開花に日光は必要ないということだ。
2024₋03₋16
トウが立つと、本来食べる部分は硬くなったりまずくなったりすると書いたが、トウ自体は旨いと思う。太くて柔らかい。キャベツ、大根のトウは旨くないが、白菜、野沢菜などのトウは美味しい。

アブラナ科の中にダイコン属とアブラナ属があり、アブラナ属の中にキャベツ種とアブラナ種がある。アブラナ種のなかに白菜、小松菜、カブ、野沢菜などさまざまな野菜がある。
(すなわちアブラナ種の野菜たちは昔から選抜してきた栽培品種であり、学名・生物学的には同じBrassica rapaであり、交配する。) これらアブラナ種のトウがうまい。

(アブラナ科の属、種については以前書いた)
20190227 アブラナ科とは何か
2024-03-29
この白菜は苗の植え残り。
成長悪かったが花はちゃんと咲いた。

トウで一番うまいのは野沢菜だと思うが、これは市販されない。
信州で秋、漬物用に大量に野沢菜を収穫するが、畑に忘れられたように何株か残る。それらは雪の下になり葉は枯れ腐るが根株は生きている。それが春になってトウが伸びてきて蕾をつける。太くて柔らかく、ほんのり苦い。
しかし信州でもほかにいくらでも野菜はあるから、わざわざ食べることはなく畑に放置され菜の花が咲き、そのうち抜かれたり耕運機で土にかき混ぜられたりする。そんなわけで私が初めて食べたのは1990年代、30歳過ぎてからだった。美味しくて母に話したら「畑にいくらでもある」と言われ、一緒に取りに行ったことを思い出す。

・・・・

アルバイト先のシェア畑で今シーズン、ナバナを作った。
これは菜っ葉であるが、最初から葉ではなく、蕾のついたトウを食べる。
ナバナは、のざわ菜、こまつ菜、みず菜のように「なば菜」ではなく、「菜花」である。つまりナバナは菜の花、食べる部分を言う。だから苗や植物体を言うときは「ナバナ菜」というべきだと思うが、バイト先では事務局もアドバイザー(アルバイト)も誰も疑問に思わず、苗の段階から「ナバナ」と言っていた。

バイト先で苗が余り、植えるスペースもないため大部分捨ててしまったが、4株だけ家に持ってきた。冬を越してトウが伸び、初めて食べたが柔らかくて旨い。同じ生物種であるからか野沢菜、小松菜のトウに味は似ている。
2024-04-07
我が家のナバナ

しかし本当はどういう品種なのだろう? 「ナバナ」は食べるときの名であって植物名ではないし、かといって「ナバナ菜」なんて聞いたことがない。
ネットで調べると、候補としてノラボウ菜、カキ菜、冬菜が出てきた。

のらぼう菜は、江戸時代から多摩地方、埼玉西部地方で栽培されてきた。セイヨウアブラナの変種とされる。闍婆菜(じゃばな)ともいう。
埼玉の比企郡は、市場性のある特産農産物がなかったが、普及指導員が2004年に地元でのらぼう菜にまつわる江戸時代中期の古文書を発見し、伝統野菜として特産化に向けた重点指導を開始。現在では特産野菜にまで成長したという。

かき菜は柿菜と書く人もいるが、手で若芽を掻き取ることからこの名になったとされる。こちらは在来種のアブラナという。群馬、栃木など北関東に多い。

ノラボウ菜とカキ菜は、外見はそっくりだが、カキナは2月下旬から収穫がはじまるのに対して、のらぼう菜は3月下旬から4月に旬を迎えるという。
ノラボウ菜の葉
「じっちゃん」のブログ
https://ameblo.jp/o137asobo/entry-12436756394.html
のらぼう菜は葉脈のところにトゲがあるという。

我が家のナバナはトゲがないからカキナということになる。しかしトゲのあるなしはこの人のブログでしか見つからない。アブラナ属アブラナ種の植物は種が同じなのだから交配しやすく変種も出やすいだろう。だからトゲのあるカキナがあるかもしれないし、トゲのないノラボウ菜もあるかもしれない。
色々ネットを見ているとノラボウ菜と掻き菜は「同じもの」という人もいた。案外、多摩、埼玉のノラボウ菜とされる中にもカキナが入っていて、北関東のカキナの中にもノラボウ菜が入っているのかもしれない。

だいたいノラボウ菜=外来種、カキ菜=在来種というが、本当だろうか? 
(菜種油の生産量などで違いがあっても)外見で区別がつきにくいものなら、どこか(地域、時代)で植物体も名前も混じったり交差したりしているだろう。

私は疑い深いから、ネットの記事をそのまま信用しない。誰もが検証もせずに自由に発信しているのだから、自分の知識の延長線上にあるものだけ信用する。

誰か産地の違うノラボウ菜を10本、同様にカキナから10本、標本を集め遺伝子を調べてもらえないだろうか。ほとんど塩基配列が同じだろうが、違う部分を探して、2つの標本群であきらかにグループが別だというデータが見たい。

それを見るまでは、カキナとノラボウ菜の違いなどは書けない。
2024₋04₋07
巨大化したナバナ。
ソラマメ(手前)を圧迫しているから抜きたいのだが。

なお、冬菜は、北信濃の実家にあり、春になるとトウが立ち、気が向くと穂を摘んで「なばな」を食べた。ネットで調べると小松菜だと書いてあった。しかし私の記憶では小松菜とは明らかに違う。実際「信州 冬菜」で検索したらいろいろある。松本冬菜は小松菜に似ているが、善光寺冬菜は全く違う。

菜っ葉の名前は、地域が違うと同じ名前でも違うものを指すのかもしれない。
逆に言うと同じものでも地域が違うと名前が違うこともありうる。カキナとノラボウ菜のことである。

ちなみに、桃の節句のころスーパーに売っている南房総の名産「菜の花」は、「食用ナバナ」で、種、植物体としては、「CR栄華」、「サカタ88号」という品種らしい。
こういう情報は信用できる。
2024₋04₋07
レタス2種、玉ねぎ。向こうは春菊、ホウレンソウ

それにしても私は毎日野菜を茹で、大量に食べている。
野菜は健康にいいというが、これも私は信用していない。
ただもったいないだけである。
ようやく白菜、カブは終わったが、小松菜は食べる暇がなく穂先(ナバナ)を数本摘んだだけ。
茎ブロッコリー、春菊、ホウレンソウも思い切って片付けるまでは、無理しても一人で食べ続けるだろう。私にとって野菜は体に悪いかもしれない。
2024₋04₋07
ナバナと茎ブロッコリー
とっくに飽きているが、もらってくれる人もおらず、今日も一人で食べる。



0 件のコメント:

コメントを投稿