2023年4月30日日曜日

夏ミカンの花、甘夏とグレープフルーツ

 

2023-04-24
朝、玄関のドアを開けたとき、あるいは夕方帰宅して門に近づいたとき、かならず芳香に包まれる。4月の中旬から甘夏(カワノナツダイダイ)の花が咲いている。
今季(昨年秋以降)は大きな黄色い実が31個生り、壮観だった。
文京区の保護樹木だった巨大な桜よりも、近所の人から多く声を掛けられた。もっとも、1,2週間しかもたない桜と違い、たわわに実る姿が年をまたいで数か月にわたって見られたせいかもしれない。

昨季はわずかに2個だったが、南にあった桜を伐採して日当たりが良くなったからか? 
1月1日から数日おきに1つずつ収穫して今は3個だけ樹上にある。

夏ミカンというのは夏にできるものだと漠然と思っていた。しかし自分で作ってみて、秋にできたミカンが冬を越し初夏になっても鮮やかに木に残っている(そして出荷する)ことから名づけられたと初めて知った。それにしても花が咲くとき前年の実が生っている植物というのは珍しい。他に何があるだろう?

ところで夏ミカンの学名はシトラス・ナツダイダイ(Citrus natsudaidai)という。日本語のダイダイがそのまま学名になった。江戸時代中期に長門で栽培が始まったが、酸味が強くて食用ではなかった。しかし冬を越えて夏になると酸味が減り食べられることが分かり、萩では明治維新で職を失った長州藩士に栽培を奨励したという。このとき、士族たちは家が代々続くようにとダイダイと名付けたとか。クレヨンのだいだい色とは幼児から親しんだ言葉であったが、「代々」と書くとは知らなかった。(もちろん今、ダイダイイロと入れると橙色と変換される)。しかし明治期に上方に出荷するにあたり、大阪商人は名前をダイダイから夏蜜柑と変更したらしい。酸味が強いが、みかん類がなくなる春以降に食べられることから貴重だった。

甘夏は、昭和初期に大分津久見の川野豊氏がナツダイダイの枝変わりから選抜、育種したもの。カワノナツダイダイという。1950年に品種登録され1965年ごろからナツダイダイからの更新が進んだ。しかし、1971年のグレープフルーツ輸入自由化以降、栽培が減っている。

そうか、グレープフルーツは1975年、大学入学で上京したとき親戚で初めて食べたが、自由化の4年後であったか。赤道面で二分割し、ギザギザのついたスプーンで中袋をほじくって食べるのがハイカラに思えた。同時に上京した同じ年の従兄(彼は不合格で予備校に入学)のアパートを訪ねると、何か月も未使用のグレープフルーツ用スプーンが壁にぶら下がっていたことを思い出す。

ちなみにグレープフルーツは、99%以上輸入でその7割がアメリカ産だが、世界生産量は中国が46%を占め、アメリカ16%の3倍である(2011年)。

グレープフルーツは埼玉にいたころから生ごみを庭に捨てるといくらでも発芽していたが、実が生るまで育てたことはない。関東では育たないと思ったからだ。しかし温州ミカン(こちらは昨季64個、今季77個生った)につづき、甘夏も成功すると、グレープフルーツもやってみようかな、と少し思う。
しかし私の年齢を思うと、(試行錯誤が必要なら)間に合わないかもしれない。しかしそれ以前に狭い庭では植える場所がない。

その温州ミカンの花は、甘夏に1週間ほど遅れて満開となった。

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目を庭全体に転ずると、春も終わり。
カブはカブとして収穫できず、いまは柔らかいトウを摘んで食べている。
キャベツは成長中、そら豆は収穫待ち、大いに楽しんだスナップエンドウは終わりに近い。
そして大根。
2023‐04‐25
最後の三太郎大根を2本抜いた。
11月に種まきして、この時期でも食べられるというのは、さすがタキイが開発した「ときしらず」ダイコンである。しかし薹が伸びてきたので、さすがに心配になって抜いた。
葉を除き860グラム、1010グラム。大きさ十分、煮ると普通に食べられた。


(追記 2023-05-09)
夏ミカンがナツダイダイというなら、ダイダイという言葉、果物が先にあったことを示す。
ダイダイは江戸時代よりもっと昔に中国から渡来し、一つの株に(前年の実どころか)何代もの果実が生っていることから「代々」といったらしい。すると明治初期に「萩の士族が家が続くように・・・」という語源は怪しい。


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2023年4月19日水曜日

アブラムシの羽有り、羽なしは別種だろうか?

 

2023‐04‐14
捨てた種から成長したモモの葉が、油でぬれたようになっていた。
ひょっとして、と葉の裏をみると白っぽいアブラムシがびっしり。

アブラムシは植物の篩管液を吸い取る。しかし養分を消化しきれず、排泄液には糖分を含み、それがアリを呼び、また、葉をべたべたした液で濡らす。

アブラムシは小さい個体がびっしり群生する。手で簡単にすりつぶせるから、子供のころ、そのときの液がアブラムシのアブラだと思っていた。しかし、葉っぱが光るほど出る、この排泄液がアブラムシの語源であろう。
しかし、ウィキペディアほかネットには語源について書いてなく、かわりに関西の「アブラムシ」についての記述を見つけた。つまりゴキブリである。背中のきらきらした光沢からこの名が出たらしい。関西では関東でのアブラムシのことをアリマキというらしい。子供のころ、蟻巻きだと思っていたが、いまは蟻牧だと分かる。もっとも牧場というより、食事場という感じだが。
ソラマメとアブラムシ
新しいスマホは近づけて写せる。
今季、アブラムシが付いたのはモモ、ホウレンソウ、キャベツ苗、ソラマメだった。ジャガイモ、春菊、イチゴはつかなかった。サニーレタスはついていないが、昨年、黒いものが付いた。

アブラムシは色は緑、黒、白っぽいものがあり、形も手足が目立たずびっしりついているもの、手足のはっきりしているもの、羽のあるものなど、いろいろある。それが生物種の違いなのか、一つの種類が、変態しているのか、よく分からない。

2023‐04‐14
こちらは羽と手足がはっきりしている。
ホウレンソウやキャベツ苗の葉の下にはアブラムシの死骸なのか脱皮した皮なのか、残骸がいっぱい散らばっていたが、そら豆の下にはない。

アブラムシはカメムシ目の下に、
・アブラムシ科 Aphidida
・カサアブラムシ科 Adelgidae
・ネアブラムシ科 Phylloxeridae
と、3つの科があり、このうちアブラムシ科の下には4つの属がある。
畑にいるのは、アブラムシ科Aphis属のワタアブラムシだろうか。

ウィキペディアには、
「アブラムシは1世代が10日程度の発育スピードであり、年の大部分はメスだけが出現し単性生殖する。ワタアブラムシは、ムクゲやミカンなどの樹上で卵越冬し、4月上旬に孵化して新葉に寄生し無翊胎生雌虫に成長する。5月上旬には羽のついた有翊胎生雌虫が現れ、ザクロなどの中間宿主へと移動する。その後もナスやキュウリなどの2次中間宿主を経て、10月下旬から有翊のオスが現れ、有翊のメスと交尾し、ムクゲなどに戻って産卵する。また、温暖地では無翊胎生雌虫のまま越冬する例も報告されている。」
と書いてある。

単為生殖(無翊、有翊)有性生殖とも、増殖は産卵、孵化、幼虫、成虫、産卵となるはずだが、このサイクルが10日ということだろうか?
無翊胎生雌虫が変態して有翊胎生雌虫になるのだろうか?
また、時期によって同一種でも幼虫から成虫になったときに無翊あるいは有翊となるのだろうか?
ホウレンソウ、キャベツの葉の下に大量に落ちていた残骸は、寿命の尽きたアブラムシの死骸だろうか?

よく分からない。
他のサイトはこれのコピペばかりであり、ネット時代の情報の氾濫と質の低下を感じさせた。
企業の研究所にいた時ならちゃんと調べたが、教員になってからは、そういう必要はなくなり、定年退職してからはすっかり調査する習慣がなくなった。
調べなくなったのは、必要がなくなったからか、老化による調査意欲が低下したからか。

さて、今回4月初めにソラマメで見たのは5月上旬出現と書いてある有翊胎生雌虫のようだが、やはり今年の春は異常に暖かいのだろう。

我が家の庭にはアブラムシはいなかった気がする。
最初に気づいたのは6年前の2017年春のキャベツ苗とフキであったような気がする。
しかしその後も大した被害はなく、昨年もホウレンソウにアブラムシはいなかったのに、今年は大発生した。
まあ、仕方がない。
諦めて他の野菜を見る。
2023‐04‐14
春になってもトウが立にくいという三太郎大根もトウがたってきた。

2023‐04‐14
抜いて葉っぱを除くと、30センチ、860グラム。
宮重は1200グラムくらいだったから少し小さいが、この時期に食べられるのは貴重である。
2023‐04‐12
この二日前に地中保存していた宮重大根、聖護院大根を掘り出した。3月4日に埋めたから40日近く前のもの。見た目はOK.
しかし豚バラ肉と煮たら、三太郎は柔らかだったが、宮重、聖護院は筋が固かった。来年は聖護院は作らない。そして宮重は2月中に食べきり、それ以降は三太郎にする。

芽出し中のサツマイモを覗くと、紅はるかから芽が4つ出ていた。
暖かい春と、黒マルチ、ビニール保温のせいか、発芽は1か月以上早い。
いっぽう、水に漬けて発芽を試みていたサツマイモはカビが生えて、しかも発芽していない。
水漬け発芽の里芋(上)とサツマイモ

2023‐04‐14
発芽している紅はるか(手前、右)。
左は水漬け発芽をやめ、地中に埋めた紅はるか。
奥にみえるシルクスイーツ、紅あずまはまだ発芽していない。

2023年4月14日金曜日

例年より早い枝豆、トウモロコシの定植

今年は3月から記録的に暖かかったので、種まきも早かった。

例年通り、植える場所が空かないのでポットで苗を育てている。

水やりが面倒なので、地面に埋めてある。

2023‐04‐12 13:50 
左からナス、キウリ、トウモロコシ(2列)、パプリカ、シシトウ、向こうにトマト。
3月12日に種まきした。例年より1か月くらい早い。ナスとキウリはダイソー(2袋110円)だが、他は昨年、自分で実から種をとって冷蔵庫に入れておいたもの。

発芽日(種の3分の1が発芽した日)は、それぞれ、3月31、20、20、31、31、28日。すなわちキウリ、トウモロコシは発芽まで8日、ナス科の4つは16日から19日かかった。ナスの種袋には発芽まで10日とあるから、暖かいとはいえ種まきには早すぎたか。

トウモロコシは2019年に苗を買ったが、それ以降は毎年自家採種している。
発芽率は非常によいが(90%以上)、なぜか幼い苗のままいくつか萎れて枯れてしまう。原因不明。
この大きさだと根っこがポットの下の穴から出始めているので、定植した。
15:51
トウモロコシを30センチ間隔で21本定植。
ここは聖護院大根と春キャベツのあった場所。

トウモロコシの向こうのビニールは試しに植えた玉ねぎ。秋の段階では枝豆の場所として計画していたが、実験用玉ねぎが予想外に育ったので抜くことができず、枝豆が植えられなくなってしまった。
左のネットはホウレンソウ、春菊。ここはナス科の苗を植える予定。
13:50
こちらは枝豆(左)、落花生(右)

枝豆は3月20日、2種類まいた。
1つはバイト先で昨年夏、余って捨てるところをもらってきたもの(品種:湯上り娘)。もう一つは2021年から自家採取しているもの(ダイソーの種袋には「早生枝豆」としか書いてなかった)

発芽率は湯上り娘が 18芽/20粒で90%
一方、昨年自家採種したものは2芽/20粒で10%

自家採取種で発芽しなかったものはすべて腐っていた。早すぎたか、雨が当たりすぎたか、あるいは今年の豆が悪いか、例年より極端に発芽率が悪い。
湯上り娘は2022年用だから2021年採取、一方自家採種は昨年採種。古くても市販種のほうが発芽率良いのは、コーティングのせいだろうか。鮮やかな青のコーティングは土の上で目立ちやすいように付けられたと思っていたが、水でふやけにくい、腐りにくいというメリットがあるのかもしれない。

3月15日にまいた落花生の発芽状況は20粒中7粒。こちらは例年、発芽にばらつきがあり、今出ていないものもそのうち出てくるだろう。

15:52
枝豆、20本、2本立てで定植。
ここは日当たりがあまり良くない場所だが、栽培できるかどうか、実験を兼ねる。
右の塀際は奥のほうから夏ミカン、アジサイ、イチジク。

15:52
ジャガイモはモザイク病でやられた。
中央部の株が壊滅状態。

キャベツは16株を育てている。
昨年晩秋に種まきして、成長の良かった8株を先行して定植、そちらは順調。
しかし成長が遅れていた8株は定植前にアブラムシにやられ、育ちがいまひとつ。

15:53
ジャガイモの花
普通は摘花するが、そのままにしておこう。
実が生るかもしれない。



2023年4月7日金曜日

レッドロビンは違う種の交配で作られた?

2023-04-05 
レッドロビンRed Robinは新芽が燃えるように赤くて生垣として人気がある。
Robinはコマドリらしい。
常緑広葉樹だから元は南方の植物か。
先日バラ科のイチゴについて書いたが、レッドロビンもバラ科らしい。

レッドロビンの学名はPhotinia × fraseri という。(種名にXが付くのは初めてみた)

カナメモチPhotinia属のPhotinia glabra (カナメモチ、俗にJapanese photinia)と Photinia serratifolia(オオカナメモチ Taiwanese photinia or Chinese photinia)を掛け合わせた園芸品種で、アメリカで作られた。今は親種二つよりも多く植えられている。

と、wikipedeliaほか、いろんなサイトに書いてあるが本当だろうか?
ふつう、生物種というのは交雑可能なもの同士をまとめて名付けたものである。
レッドロビンは別種のもの、生物学的に交配しないものから作られたことになる。

例えば、アブラナ、ミズナ、カブ、ノザワナ、コマツナ、ハクサイ、チンゲンサイは栽培品種としては違うが、生物種としては同じで学名はすべてBrassica rapa である。だから自然界で交雑する。しかしキャベツ、ブロッコリーは同じアブラナ属だがB. oleracea という別の生物種だから交雑しない。大根はアブラナ科だがアブラナ属ですらなく、ダイコン属 Raphanusだから花や葉っぱは大きく異なる。

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種が違えば交雑しない。
たまに(人為的に)することがあっても子孫は残せない。ライオンとヒョウのあいのこ、レオポン、馬とロバのあいの子、ラバなどが良い例である。

ということは、レッドロビンは種を作らないことになる。
もっとも、挿し木でどんどん増える。我が家でも何本か挿し木で増やした。しかし植えるところがなく、抜いてしまったが。

さて、この掛け合わせによって多くの品種ができ、Red Robinはその一つ。ほかにCamilvyとかCurly Fantasyなどがあるそうだ。

ところで、レッドロビンとよく間違えられるものとしてベニカナメモチがある。(同じものと考えている人もいる)
ベニカナメモチはRed Robin の和名ではなく、カナメモチの変種で、だから学名(種名)はカナメモチと同じPhotinia glabra である。
カナメモチ自体も新芽が赤いが、さらに赤いものとして選ばれた。レッドロビンより葉っぱが小さいが、素人には見分けがつかないという。
ベニカナメモチがあるなら、わざわざレッドロビンを作る必要はなかったと思うが、耐病性、育てやすさの問題か?

私はベニカナメモチもカナメモチもオオカナメモチも見たことがない。

レッドロビンだって10年前生垣を作るにあたって初めて知った。
11回目の春、改めて見る。
2023‐04‐05 9:32
手前のレッドロビンは、赤芽がない。
この冬、キンモクセイを伐採、抜根するにあたり、そばのレッドロビンの根を切ってしまったため樹勢が弱り、新芽が出なくなったようだ。

赤い新芽はきれいだが、昨年秋の剪定が緩かったせいか、ずいぶん道路にはみ出している。
剪定は年2回、春は赤い色が薄まり緑になってからと思っていたが、ネットを見ると3~4月ころしても良いらしい(その場合は年3回剪定)。

9:33
この道も10年前とずいぶん景色が変わった。
かつて南側(左)には古い空き家があり、玄関わきの大きな木が木陰を作っていた。
そして我が家(右)には周囲3メートルの桜の大木があり、
道路側だけでもモミジ、ザクロ、キンモクセイ、サザンカがあった。
それらをすべて伐採したせいか、天気のせいか、ずいぶん明るい道に見える。
過去の懐かしくなってしまった写真を載せる。
西側から 2017-05-05

東側から 2016-01-17

さて、2023年のこの日、剪定を始めるとすぐ暑くなった。
半袖Tシャツ1枚になると気持ちよかった。

しかし30年以上前に買った枝切りバサミは歯がこぼれ、切れない。
そこで力を入れて閉じれば勢い余って両手の親指が頻繁にぶつかり痛い。
それに大きく重くて、肩と両腕が疲れる。
お金がないわけじゃないんだから、業者に頼んだほうが良いかな?

しかし業者にやってもらって空いた時間は何するの?
見たくもないテレビを見るのか?
結局自分で剪定するのが一番良い、と思いつつ切り続ける。

11:01
枝切りは、休みなしで1時間半かかって終わった。
しかし片付けが大変。
全部袋に詰めれば楽なのだが、袋がないので、30センチくらいある大部分の枝は一本一本拾ってそろえ、ひもで縛った。そして箒で掃けるような葉っぱや小さい枝だけ袋につめた。

12:20
道路側の掃除だけで1時間20分かかったことになる。
このあと、同じくらい落ちている庭側の枝拾い、掃除を終え、空腹と尿意で家に入ると時計は13:20をさしていた。4時間近く休憩なしで働いたことになる。

千駄木菜園はすっかり春である。
わずかに残っていた人参はすべて抜いた。
ソラマメも小さな実をつけ始めた。

2023年4月6日木曜日

イチゴの花:バラ科リンゴとの共通点


2023‐04‐05
育ってきたイチゴのあたりに白い花びらがあった。
今年から我が家には桜がない。
どこか遠くから風で運ばれてきたのかな、とよく見たらイチゴの花びらだった。
大きさ、色が似ている。リンゴにも似ているな、と思ってすぐ、イチゴはリンゴや桜と同じバラ科であることに気が付いた。もっとも花びらなんてみんな似ているが。
この機会に花をまじまじと見た。
花びら、がく、副がくは、5まいずつ。バラ科の特徴である。

イチゴの赤い部分となる食用部位は、すでに真ん中に黄色だがそれらしき形をしている。
そして周囲におしべのようなものがある。
https://bio-megane.com/2021/06/19/から拝借

つまり、チューリップやナスのように花一つにめしべ(柱頭)が一つあり、その周りにおしべがあるわけではない。花一つにめしべが多数あり、そのまわりにめしべより少数のおしべがある。

受精しためしべの下には種があるはずで、それがイチゴのツブツブとなる。
ナスやトマトのように、ふつう種のまわりには柱頭の下部が肥大した果肉(子房)があるはずだが、イチゴの場合、赤い食用部分はめしべ、柱頭とは関係がなく、茎に由来する花床(=花托)が肥大したものである。

同じバラ科のリンゴも花一つにめしべが複数ある。しかし種(胚)を包む子房は果肉ではなく、芯となる。果肉はやはりイチゴと同じ茎由来の花托が肥大したものらしい。
子房というと、その音とか乳房からの連想か、膨れた果肉を想像しがちだが、心房、独房のように、「室、空間」という意味であろう。

リンゴ大学(https://www.ringodaigaku.com/study/study01b.html)から拝借

イチゴは種が花托の表面に散在したまま、花托が下から盛り上がっていく。それに対しリンゴは柱頭の下に種がまとまってできるが、リンゴは花托が全体を包むように肥大していくようだ。

2023‐04‐05
イチゴは2019年に苗を買ってきて、それを毎年冬越しさせている。しかし春夏はプランターだったり、日当たり悪い場所だったり、作物としてまともに育てたことがなかった。

昨年6月、バイト先でシーズンの終わったイチゴをすべて抜いて廃棄した。そのうち4株をもらってきて桜の切り株の上に土を盛って植えて置いたら夏秋の間に増えたので、ちゃんと畑部分に植えなおした。

2023‐04‐06
ちゃんと植えたので、バイト先で指導するように、不織布を敷いた。

2023‐04‐06
桜の切り株のほうは不織布をしかず、そのまま。

そうそう、3月28日、スマホを代えた。
ワイモバイルからUQへの乗り換えで、キャンペーン割引があり、機種代金が1円、毎月の使用料も2980円から2508円になった。
カメラにはマクロ撮影機能があり、接写ができるようになった。

品種は宝交早生(ほうこうわせ)という。

あまおう、とよのか(以上福岡)、あまりん(埼玉)、恋みのり(熊本)、ゆめのか、さちのか(以上長崎、佐賀)、とちおとめ、とちあいか(栃木)、、スーパーのアルバイトを始めてからいろいろ品種を覚えたが、宝交早生は聞いたことがない。だいいち名前が昭和だ。

実際調べると、兵庫県農業試験場宝塚分場で選抜育成され、昭和35年(1960)に公表された。「宝交」は宝塚で交配されたから。
耐病性があり味も良かったため、一次は全国の6割を占めたという。しかし流通段階で傷みやすかったため、その後、出てきた新しい品種(多くは宝交早生を祖先にもつ)に置き換わり、市場から姿を消した。

しかし、作りやすく家庭菜園や一部の観光農園などで作られている。
味はどうだろう?
2019年から細々と作っている品種忘れたイチゴと比較するつもりだ。


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2023年4月1日土曜日

ジャガイモのモザイク病はタバコモザイクウィルスか?

順調に、というか世間から見たら「異常に速く」成長していたジャガイモに異変が起きた。

季節外れに暖かい日が続いていた3月12日ころ、育ちの悪い株が一つあった。葉に斑点があり、病気のようだったが一株だけだったので放置したら、1,2週間ほどで全体に広がった。

ちゃんとジャガイモを作るのは(種芋を使わなかったから「ちゃんと」とは言えないが)初めてなので、病気も初めて。他の野菜でもこれだけ壊滅的にやられるのは経験がない。 
2023‐03‐27
健全な株と病的な株の差は歴然

葉の裏を見るとところどころ枯れている。
ネットを見ると、ジャガイモの葉が黒っぽく壊死していく病気には疫病とモザイク病があるらしい。

しかし疫病というのは変な名前だ。普通名詞ではないか。
「ジャガイモ疫病」とでもすれば鳥インフルエンザとか豚コレラみたいに病名らしくなるが、トマト、ナスなど他のナス科植物にも感染するから、やはり「疫病」なのだろうか。

まあ、ペストも英語はplague。疫病という単語そのものだから、最初に発見されて名付けられるものは、そういうものかもしれない。

ジャガイモの疫病の英語は、Phytophthora infestansで、病名でありながら病原微生物の種の名前でもある。
属名のphytoは植物、phthoraは腐敗、種名infestansは感染を意味するから、英語でも普通名詞のような名前である。フハイカビ科の真菌で、1845年から1846年にアイルランドを中心にジャガイモ飢饉を引き起こしたジャガイモ疫病菌の本体である。アイルランドでは100万人が餓死し、多くの人がアメリカ、カナダに移住(J・F・ケネディ大統領の祖先もそう)。総人口が半分になったほどの世界史的事件である。

しかしよく見ると、病変は小さな斑点が多い。病変部が島のように広がるジャガイモ疫病よりも、ウィルスで感染する、モザイク病の可能性が高い。モザイク病も普通名詞のような変な名前である。
こちらも「ジャガイモモザイク病」と呼んだほうが病名っぽい。しかし「ジャガイモモザイクウィルス」というものはなく、様々なウィルスがこの病変を引き起こし、また各ウィルスは様々な植物に感染するらしい。

ん? 学生時代に習ったタバコモザイクウィルスというものがあったな。タバコはジャガイモと同じナス科である。
我が家のウィルスはかの有名なタバコモザイクウィルスだろうか?

ちょっと調べてみた。
初めて知ったのだが、ウィルスも、ほかの生物同様、科(family)、属(genus)、種(species)で分類されるらしい。目で見てはっきり違う植物、動物、菌類などと違い、化学物質であるウィルスもこうやって分類されているとは。

例えば、キュウリモザイクウイルス(Cucumber Mozaic Virus:CMV)はククモウイルス(Cucumovirus)属で、主にウリ科やナス科、アブラナ科、ユリ科、キク科などに感染する。
タバコモザイクウイルス(Tobacco Mozaic Virus:TMV)はトバモウイルス(Tobamovirus) 属で、主にナス科やマメ科、キク科などの植物に感染する。
そのほか、チューリップモザイクウイルス(Tulip mosaic virus:TulMV)やカブモザイクウイルス(Turnip mosaic virus:TuMV)も野菜に感染するらしい。

教員時代、ウィルスを分けるにあたり、目、科、属ではなく、ボルチモア分類を教えた。

1.2本鎖DNAウイルス (dsDNA)
2.1本鎖DNAウイルス (ssDNA)
3.2本鎖RNAウイルス (dsRNA)
4.1本鎖+鎖RNAウイルス ((+)ssRNA)
5.1本鎖-鎖RNAウイルス ((−)ssRNA)
6.1本鎖RNA逆転写ウイルス (ssRNA-RT)
7.2本鎖DNA逆転写ウイルス (dsDNA-RT)
の7種である。

これは、アブラナ科やネコ科のように、生物としての形態が似ているもの同士を集めてグループ分けしたものではない。
核酸と少数のたんぱく質からなるウィルスを、形態ではなく化学物質として分類したものである。

ウィルスは病原微生物とされるが、よく言われるように化学物質と生物の両方の性質を持つ。
化学式で書くことができる少数のたんぱく質と核酸からなる。これらは純然たる化学物質である。物質というのは、均一な微粒子であれば、それらが結合するとき規則性をもって配列する。すなわち結晶化する。
タバコモザイクウィルスの結晶
(ウィキペディア)
TMVは、初めて発見されたウィルスで、結晶化したスタンリーは1946年ノーベル「化学」賞を受賞した。

化学物質、結晶というものには、生と死がない。
ヒトをはじめとする動物には死という時点があり、その前後で構成する細胞内外の成分、すなわち化学物質にほとんど差がない。しかし明らかに死という瞬間がある。つまり化学物質は死なないが、システムには死がある。化学物質であるウィルスは徐々に核酸が化学的分解していくことはあっても、分解されなければ永遠に感染活性をもつ。

(コロナ対策で奨励されたように、アルコールをかければ不活性化するが、死ぬ(分解する)わけではなく、構成たんぱくなどが解離するだけである。再び水に戻せば会合し活性ウィルスとなる。しかし夾雑物がある中でアルコールによって拡散されてしまえば再び会合する確率はゼロに近い)

生物と無生物の間は何か?
生と死の間は何か?

庭のジャガイモを見てこんな問題を考えたわけではないが、これを書くにあたり、ウィルスの電顕写真を見て、改めてそう思った。
2023‐03‐27
さて、カビの仲間に感染したジャガイモ疫病と違い、ウィルス感染症にきく農薬はない。
モザイク病にかかったジャガイモは救いようがない。だから感染した株はすぐに取り除いて畑の外に廃棄しなくてはならない。
と書いてあるが、もう手遅れである。
今から半数近く引き抜いても、残った株も遅かれ早かれ感染していくだろう。

そこで、自然治癒を期待して、枯れてきた葉っぱだけ取り除くことにした。
枯れかけている葉は手で曲げるとポキンと折れる。

市販の種芋と使わなかったからか? 
ビニールで保温していたからか? 
異常なほどに暖かい春だったからか? 
発症原因は分からない。


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