2023年5月20日土曜日

谷中墓地13 東大新光社と牧野富太郎、朝倉文夫

2023年の黄金週間は、3年ぶりのコロナによる行動制限なしということで、にぎわう行楽地のニュースが流れていた。しかし私はどこにも出かけず、二人の客人と、久しぶりに東大、千駄木、谷中墓地を散歩した。

一人目は駒野宏人氏。

コロナワクチンに関し政府、専門家会議はいくつかの重要な事実を隠ぺいしている。それをマスコミも報じないことに危機感を持ち、盛岡で啓蒙活動している彼が上京、赤門前で落ち合った。

2023‐05‐01 12:27 中央食堂
昼食を懐かしい生協で食べようと思ったが、中央食堂は行列ができていてパス。
法文2号館地下の銀杏、メトロも混雑していた。
連休の最中でも大学はやっていて、皆来ていることに感心した。

いっぽう、向かいの購買部は閑散としていた。
46年前、オーディオ、家電製品などが並び、私も机、スチール本棚、ガス炊飯器を買ったが、いまは取扱商品もPCなどに代わり、人もいなかった。いまの学生は生協で買わず、ネットなどで買うのかな。
12:31 新光社
学会発表のスライドを作ってもらった新光社が今の時代生き残っていることに驚いた。
こちらも誰もいない。
家賃の高い学外にあったらとうに閉店していただろう。

ぶらぶら第2食堂に行くと空いていた。
私は鳥竜田揚げ丼、彼は7色野菜カレー。

そのあと、いろんな話をしながら農学部から出て日本医大裏から千駄木の高級住宅街に入った。ここから我が家への道筋は漱石旧居跡、千明邸、大田邸、朝倉響子、鴎外旧居跡、団子坂上をすぎて島薗邸、安田邸、さらに(屋敷はないが)宮本百合子、津山藩・松平康民子爵、高村光太郎、山崎朝雲らの旧居跡を通るから、私はバスガイドのように休む間もなく講釈し続けた。

彼は千駄木、保健所通りの家並みをみて私の家がずいぶん立派だと勘違いした。しかし、我が家は草の生えた未舗装の裏道に入り、表通りの高級感はまったくない。
高級感はないが、自慢の千駄木菜園をみせた。大量に育ち、処分に困っていたサニーレタスを3つとったが、リュックに入らないと1つしか持って行ってくれなかった。

別れるとき、彼は前日、練馬区立牧野記念庭園に行ってきたという。
NHKの朝ドラ「らんまん」を見ているらしい。
谷中墓地に墓があると教えると、ぜひ行きたいというので、帰りに立ちよることにした。
途中、谷中銀座は日本人だけでなく外人観光客もいっぱい。大した場所ではないのに、なんでも実物以上に魅力的に大げさに書くガイドブックやテレビに騙され、みな押し寄せるが、内心がっかりして二度と来ることはないだろう、と話しながら、人込みをすり抜けて谷中墓地に到着。

さて、実は牧野の墓は行ったことがない。
ただ、天王寺の前から南にまっすぐ続く墓地のメインストリートの脇の足元に、「牧野富太郎墓所入口」という小さな石柱があり、10年以上前から何度も目にしていた。だから大体の場所は知っている。いつでも行けると思って、墓石まで行ったことがなかったのである。ここは有名人がいっぱいいるから、なかなか機会がない。

墓地内部に入っていくと、かつて訪ねた東大医学部の千人塚や、古河の殿様・土井家の墓がある。しかし牧野の墓は見つからない。

うろうろいていると朝倉文夫の墓に出くわした。
こうやって予期せぬものに出会うのは楽しい。
15:43 朝倉文夫夫妻之墓
場所は墓地の西北の端に近く、ちょうど自宅(現・朝倉彫塑館)が見える位置にある。
区画は広い。墓石、敷石の配置もよくある左右対称ではなく、芸術的である。
本人(1883-1964)の遺言だったのか、あるいは遺族、例えば娘さんの彫刻家・朝倉響子氏(1925- 2016)らのデザインだったのか。
このあたりは東京都ではなくて天王寺の管理であるが、それにしても、昭和39年にこれだけの敷地が取れたとは意外だった。

結局、牧野の墓は探し出せず、掃除されていた管理人の方に聞くとすぐ教えてくれた。
そういえば、東京都公園協会でここの墓地管理人を募集していたな、しかし2回も(雑司が谷霊園だったが)書類選考で落ちたから、応募しても無理だな、
などと思いながら千人塚の東側を北に入っていくと、あった。
15:46 結網学人 牧野富太郎
ケツモウガクトと読む。結網は牧野の号。
墓誌の一番新しい人の没年は令和四年(九十五才)であった。
15:46
墓石の裏に簡単な年譜があって、
朝比奈泰彦 謹書 とあった。
私の出身教室、東大生薬学教室の二代目教授である。
朝比奈(1881-1975)は初代・下山順一郎の後をつぎ、講座を主宰した。植物化学を専門とし、二度ノーベル化学賞の候補となったが、牧野との交流はどういうものだったのだろう?

谷中墓地は案内したい有名人の墓がいっぱいあるのだが、この日、彼は新幹線で盛岡へ、私は夕方から都立松原高校で薬物乱用防止講演がある。そのため他は何も見ず、日暮里駅に急ぎ、改札を入って別れた。
(続く)


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