2021年7月16日金曜日

荒玉水道道路、地平線は何キロ先まで見えるか?


地図を見ていて気になっていたものの、行ったことがない場所のひとつ。
世田谷区の荒玉水道道路。
直線が約10キロメートルも続くという。
ここに立ったらずっと先まで見えるのかな?

都道428号
左下から右上まで一直線

しかし地球は丸い。
日露戦争の日本海海戦では高いマストに上っても、遠くの船はなかなか見えず、先に煙が見えてから敵艦が現れた。6400メートルくらいになるまで砲撃しなかったのは、見えなかったからではないが。

hメートルの高さからどのくらい遠くまで見えるか?
地球に接線をひき、それが地表からhメートル浮き上がる距離 L はいくらかという問題になる。
地球の半径をRメートルとすれば
  R^2  + L^2 = (R+h)^2 
  すなわち、L^2= 2hR+h^2    L ≒ √(2hR)
眼の高さ h=1.5メートル、R=6,371,000メートルを入れれば
   L=4371メートル 
つまり5キロ先の地面は見えないということだ。
しかし目標物の高さも1.5メートルなら、この倍、8.6キロ先の物が地平線上に頭を出す。

6月30日、この道路の近くの恵泉女学園に用事があった。
2021‐06‐30 12:22 恵泉女学園
あたかも修道院のように校舎が中庭を四角に囲んでいた。
講堂、図書館が素敵でキリスト教精神に基づく品のいい学校だった。
卒業生では北川祥賢氏の奥さんしか知らない。

この日は、ここに来る前に遠回りして昼食も取らずに松陰神社、世田谷城址、豪徳寺を早足で回ったから、仕事が終わるとすっかり疲れてしまった。これからワクチン接種に行かねばならない。
しかしせっかくなので経堂駅と反対側に足をむけ、急いで「まっすぐ道路」に行った。

イトーヨーカ堂の先の交差点で立つ。
確かに道はまっすぐ。
しかし「地平」を見ることはとても難しいことが分かった。

14:31 南を見る
左は世田谷区船橋5‐35‐7 
まず直線道路の信号が赤のとき、私が左折車、右折車に注意しながら交差点の真ん中に出なくてはならない。しかしたいてい車が信号待ちで止まっていて向こうが隠れてしまう。
何度か挑戦してようやく車のいない瞬間に立てたが、どこまで見えるかと言われても、目印がないからよくわからない。
少し起伏もあるようだ。
北を見る

視力1.0なら視角1分(1度の1/60)が判別できる。
お玉を目に当てみたものは、5メートル先のC。
半径5メートル(5000mm)の円周をかき、1分に対応する弧の長さは
5000 *2 * 3.14 / 360*60 = 1.45mm
つまり、5メートル先の1.45mmが判別できる。

外へ出れば5キロメートル先の人間(1.45メートル)が見えるはずだが、急いで立つ交差点の真ん中では動体視力なのだ。目を凝らす時間もない。
とりあえず写真を2枚撮った。

帰宅後グーグル立体航空写真を見た。

環八通りと千歳通の交点から北を見る。右に恵泉女学園が見える。
日大理工学部の向こうに黒い線が横たわっている。

黒い線は京王線(桜上水駅付近)と中央自動車道(高井戸ICの東なので首都高4号新宿線)であった。正面はるかに見えるは筑波山。ちょっと意外な方向にあった。

ここで分かったのは、完全な一直線ではないこと。
良く晴れた湿度の低い日でも5キロ先は物理的に難しいことがわかった。

この道路は都道428号、高円寺砧浄水場線という。
地下に荒玉水道の水道管が埋めてある水道道路である。水道管を保護するため4トン以上の車は通行を禁じられ、ところどころにある車幅ゲートで制限されている。

荒玉水道というのは、1923年の関東大震災のあと急速に都市化が進んだ、北多摩郡、北豊島郡にある13の町村が組合を作り、多摩川(玉川)と荒川を結ぼうとした上水道のこと。
しかし荒川はつながっていない。多摩川の伏流水を井戸で汲み上げて水源とする砧浄水所から中野の野方給水所をへて、板橋の大谷口給水所までを管径1.1mの鉄管で結び、総延長約17km、 1931年9月竣工の1期工事で終わっている。

直線部分は世田谷区喜多見から杉並区高円寺まで約9km。
車両の通行ができるようになったのは1962年からという。

この道を歩く元気も時間もなかった。
駅に戻る道は遠かった。
2021‐06‐30 14:46 経堂駅北口
16時から大手町でワクチン接種を受ける。
急いで何か食べないと。

経堂駅は小田急の他の駅と同様、1998年から2002年にかけて複々線、高架化の工事に伴い大きく姿を変えた。
学生時代、テストの採点で赤堤にアルバイトで来たことがある。たった一度だけだから高架工事で変わってなくても当時の景色は思い出せなかっただろう。でも駅でスパゲティナポリタンを食べたような記憶はある。



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