すぐ近くの東洋文庫ミュージアムで企画展「江戸から東京へ -地図にみる都市の歴史」が開かれている。
三菱商事の株主優待券があったので、7月28日、暑中出かけた。
2019-03-09 ロビー
背中側(不忍通り側)の池は「ムセイオンの泉」、
正面から左側に広がるショップは「マルコ・ポーロ」、
入場券を出して入った空間は「オリエントホール」
庭は「シーボルト・ガルテン」
庭を越えてレストラン「オリエント・カフェ」
そこに行く道は「知恵の小径」と丁寧に名付けられている。
似たものを区別するときは名前が必要だが、これらの場合は名前はあってもなくても良い。
逆に名前だけだと何だか分からない。
その「マルコ・ポーロ」(ミュージアムショップ)は3回目だが、見ていて飽きない。
企画展の図録や書籍だけでなく、浮世絵や古地図など所蔵品をデザインしたポスターや便せんなど素敵な商品がいっぱい。
待ち合わせの人が遅れたほうが、じっくり楽しめる。
2021‐07‐28
オリエントホールにある江戸図(北の部分)
6年前もここにあった気がする。
東大本郷キャンパスのところは松平加賀守、水戸中将殿とかいてある。
不忍池の弁天島がない。谷中をみると三浦志摩守、玉林寺、瑞輪寺はあるが、天王寺のところが感応寺とあるから江戸の初期である。そのわりには幕末の江戸切絵図よりずっと正確で素晴らしい地図だ。
根津神社のところが甲府中納言殿とかいてある。
甲府徳川家の徳川綱重(家光の三男)の江戸根津屋敷である。ここで綱重の長男・綱豊が生まれると近くの千駄木の根津権現が産土神となった。5代綱吉は子がなかったので綱豊を養子とした。
綱豊が将軍世嗣(のちに改名して6代家宣)に定まると、綱吉は、1706年根津権現社を千駄木村から、綱重の屋敷跡に遷座した。
頭に焼き付くほど見ている尾張屋版江戸切絵図は幕末なので、それと比較しているといつまでも飽きない。
さて、二階の企画展にいく。
階段途中から北を見る。ムセイオンの泉、ショップ方面。
階段を上がるとモリソン文庫
平日の午前中、ほとんど人がいないのでソファに座って本の壁を見あげて休憩。
東洋文庫は、三菱の3代総帥岩崎久弥が、1917年に中華民国の総統府顧問をしていたジョージ・アーネスト・モリソンの所蔵する、中国に関する欧文文献のコレクション(2万4千点、モリソン文庫)を購入したことに始まる。その後、久弥は和書・漢籍をはじめとする東洋諸言語の文献を集め、日本を含めた東洋全域を網羅するコレクションを構築した。
所蔵総数は約95万点、5件の国宝と、7件の重要文化財を含む。
御成敗式目、続日本紀、吾妻鑑などの文書、古地図が展示されていた。
江戸だけでなく、ヨーロッパ人の残したアジア図、日本地図も何点か見えた。北海道がmatsumaeと書かれ大陸とつながり、東インド諸島が詳しく朝鮮半島が細いのは彼らの情報量を示す。
床に奈落の底が開いている。
前回じっくり見て大丈夫とわかっていても足を置くのが怖い。
前回来たときはこのあたりに解体新書があった気がする。
「クレバス・エフェクト(特許取得品)実際の深さは10㎝です」
とある。
クレバスは氷河などにある深い割れ目のことだろう。
たぶん、下に鏡があり、上(床)がマジックミラーになっているのではなかろうか? すなわち鏡を2枚平行にたてると無限に反射し、鏡の中に鏡がある繰り返しがずっと奥まで続く。
それなら「ミラー・エフェクト(鏡効果)」というべきではないか? クレバスエフェクト(割れ目の影響、効果)といえば、深い切れ目を見ると必要以上に足がすくむような、心理効果を連想させる。
次の部屋はメインの展示室で「ディスカバリールーム」という。
今ブログを書いていて、全部の地図を撮って来ればよかったと後悔している。
江戸の古地図がいっぱい展示されている。
古地図は、見る人に知識があればあるほど多くのことを教えてくれる。
よくきく新撰東京名所図会(1896-1908)の実物を始めてみた。
もちろん国会図書館にはあるが、家で自由に閲覧できる「インターネット公開」にはなっていない。明治の東京が見える貴重な書籍である。
新板大江戸絵図(寛文五枚図のうち北の部分)
1670‐1673(寛文10‐13)刊
明暦大火後、幕府の命令で、絵師・遠近道印(おちこちどういん、1628ー?)が中心になって作られた。
幕府公認で出版、版も重ねられた。縮尺は1分(3mm)が5間、すなわち3250分の1。
驚くべき正確さ、当時の測量はどうだったのだろう?
しかし、太平の世は正確さより利便性娯楽性を優先し、名所は大きく、また1枚に収めるため道は曲げて周辺は縮め、大いに普及したのが江戸切絵図である。
その後、正確な測量図は幕末の伊能忠敬まで待たねばならなかった。
教科書にも載って中学生でも知っている伊能と比べ、遠近道印の無名さはどうだろう?
いかにも地図製作者としてのペンネームという感じで、本名も諸説ある。
先に見た1階オリエントホールの大型地図(江戸全図)は、年代、正確さは同じだから、これが元になったものだろう。そちらと比較すると、こちらは団子坂、無縁坂が階段になっていて、不忍池に弁天島がある。
まだ会期中。
しかし900円払ってまた行くほどでもないかな、と迷う。
今行けば、間違いなくもっと細部まで見てくるだろう。
ちなみに展示されていた資料は
De mythologie der Grieken
pompeii
コーラン経
日本書紀
تاریخ زمین لرزههای ایران / نوشته - ن. ن. امبرسز و چ. پ. ملویل ؛ ترجمه - ابوالحسن زده
كشف الصلصلة عن وصف الزلزلة / لجلال الدين السيوطي ؛ تحقيق عبد اللطيف السعداني ؛ قدم له محمد الفاسي
異国叢書
日本西教史
朝鮮王朝實録一千九百七十九卷(太祖至哲宗)坿総索引
Inventario. Secção 13-Manuscriptos. Collecção Pombalina
Candide, ou l'optimisme. Edition critique par Christopher Thacker
Baalbek : image and monument, 1898-1998
The Beagle record
San Francisco relief survey
Seismology. 2. ed
Notes de s(é)ismologie. [No. 1]: Le tremblement de terre du Kan-sou (Chine), 16 décembre 1920.
東京帝國大學附屬図書館復興報告
Report on the commercial, industrial and financial situation in Japan and her dependencies in 1923
Das Erdbeben in Japan am 7. März 1927
1999大地动 : 921集集大地震纪录摄影集
Aquarelle : [Chromofacsimilirt von R. Steinbock nach der Aquarelle aus der Sammlung "die Reise um die Erde"]
蘭亭序
千字文
死者の書
御成敗式目
永楽大典
訓民正音
L'Asie divisée en ses principales regions ...
A new history of Ethiopia. Being a full and accurate description of the Kingdom of Abessinia ...
Vida del P. Francisco Xavier de la Compania de Iesvs ...
Nieuwe kaart van Tartarie ...
Voyages a Peking, Manille et l'île de France ...
山陽詩抄
琉球行列図
川路聖謨とロシア使節の対話
特命全権大使米欧回覧実記
続日本記(巻二二~四〇)
大江戸図説集覧初輯
吾妻鏡
義経記
長禄江戸図(第一帙)
太田道灌雄飛録
聞見集
慶長年中江戸図、慶長年中江戸図考(第一帙)
画本東都遊 上
江戸名所図会(第一帙)
武州豊嶋郡江戸庄図(第一帙)
新添江戸之図(第二帙)
新板武州江戸之図(第二帙)
むさしあぶみ 絵入
墨水兩岸一覽圖
江戸名所記 繪入
江戸雀
江戸鹿子
四季遊観 江戸名物図絵
江戸図鑑項目及び江戸図
繪本江戸土産 及續
絵本江戸土産
江戸大絵図 寛文一一年刊(第二秩)
江戸図正方鑑
江戸方角安見圖
明和板江戸図
江戸火災之眞寫
江戸名所之絵(江戸一覧図)
商売往来 絵入
江戸循覧記
江戸買物独楽案内
江戸歳時記 及附録
徳隣嚴祕録 及因獄祕圖(文化一一)
震華監要
瓦版
府郷御江戸絵図(第25帙)
概觀維新史及索引
New map of Tokyo. With 1300 references
New Century Map of Tokyo
東京区分町鑑
A handbook for travellers in central and northern Japan
二十万分一帝国図
The reconstruction of Tokyo
風俗畫報(新撰東京名所図会)
東京案内
江戸切絵図(本郷、小石川、駒込、など)
あまりいっぱいあって撮る気が起きなかったのである。
シーボルトガルテンの向こうにあるオリエントカフェは入らなかった。
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