2013年に文京区に引っ越してきたとき、区全体の1枚地図をもらった。
もともと地図が好きである。引っ越しと同時期に転職した大学の自分の部屋に、明治11年の東京全図と並べて壁に貼り、毎日眺めていた。
そのうち高校訪問(営業)で豊島区担当になったので、豊島区の1枚地図も池袋の区民センターでもらってきて文京区の隣に貼った。
大学を定年退職してから、先月、ある成人男性の個人教師を頼まれた。
都内を散歩しながら歴史を講義することを計画し、池袋駅東口のとしま区民センターで最新の豊島区地図、また高田馬場の戸塚出張所で新宿区の1枚地図をもらってきた。
文京、豊島、新宿と地図を3枚並べて見ると、ほかの区の無料全体地図はどんなものだろうと興味がわいた。そこで集めようと思ったのである。
区役所や出張所に行くと、区全体の1枚地図が無料でもらえる。
最近、用事がなければ散策することもないので、地図集めで都内を歩いてみようと思った。
そして、先日、3月1日までに、23区を(少しだけだが)歩き、足立区をのぞく22枚の地図を入手した。
訪問順にまとめると
1/24 豊島、新宿
2/13 文京、台東
2/14 渋谷
2/16 北
2/17 板橋
2/21 荒川、葛飾、江戸川、墨田
2/22 世田谷、目黒
2/27 品川、大田
3/1午前(足立)、江東、千代田、中野、杉並、練馬
3/1午後 港、中央
中野区は、さっと出してもらえたのがとても小さくて、簡単なものだったのでがっかりした。
文京区は、今まで本郷図書館と同居する汐見地域センターで何回か地図をもらっていて、そのたびに違う。更新するたびにスタイルを変えるのか、同時期に何種類も出回っているのか、知らない。
北区は、近くの田端区民センターでは防災地図しかなかった。王子の北とぴあでは北区観光ガイドマップという大型一枚地図をもらったが「ちょっと情報が古いんです」と窓口の人が恐縮されていた。
板橋区は、下赤塚区民センターに行った。ほかの区と違い、大型一枚地図なのだが小さく折りたたまれて、裏表に硬い表紙がついている。つまりポケットに入れて区内を散策できるようになっている。私はその日、そこから近い板橋区立植物園に行った。
2月21日は京成電鉄の都内区間乗り放題という切符を買って、一気に東京東部の4区を周った。京成沿線は古くから住宅が密集してしまったため、埼玉などと違い駅前はどこも広場がない。区民事務所もこじんまりとしたものだった。
その翌日は世田谷区、目黒区の地図を求めて下北沢、駒場、大橋を歩いた。前日とは違い、立派な家の間の道を歩き、区民センターも立派だった。東京西部の人は中央まで、東部の人も中央までしか行かないから、東西が交わることもなく、まるで違う都市のようだった。はっきり言うと、西部のほうが金持ちに見えた。西部のほうにも貧乏な人はいるし東部にもお洒落で金持ちはいるのだが、街並みは明らかに違う。
大田区、品川区は駅に近いところに区民事務所があるという印象。
品川区の地図は墨田区に次いで2つ目の区役所でもらった。どうせなら各区の区役所を見てみようと以後はできるだけ区役所訪問にする。
翌々日の3月1日は地下鉄乗り放題切符で朝から動いた。足立区役所だけは地下鉄が行っていないので北千住の区民事務所で済まそうと思ったが地図がなかったのは前に書いた。しかしそのあとの江東、千代田、中野、杉並、練馬、港、中央はすべて地下鉄駅から歩いて区役所で地図を入手した。当たり前だが区役所は区によって姿が違い、そこには少し区の特徴が表れているような気がした。
ちょうどマイナンバーカード申請のマイナポイント付与締め切りと確定申告の時期でもあり、どの区役所も多くの区民が訪れていた。服装なども少しずつ違っていただろうか。
さて、22区の地図を手にして改めて中を見る。
中野区を除くとどれも精密で美しい。
思えば、1977年春、目黒区駒場の寮から文京区本駒込のアパートに引っ越してきたとき、転入届けを出した日に一枚地図をもらった。
その出張所がどこだったか記憶にないが(多分廃止された)、地図は大きかったけれど今のように情報量が多くてきれいなものではなかったことを覚えている。
22区の地図一覧
22枚の地図は、それぞれ違う。
縮尺をみると千代田、中央、荒川、台東、文京など小さな区は、地図化での縮小はゆるやかでよいが、いっぽう練馬、江戸川、葛飾など大きな区は縮小率が大きい。
そこで面積を調べてみた。東京都の公式サイトにあったので、人口も併せて載せる。
人 平方キロ 密度
千代田区 66,687 11.66 5719
中央区 170,475 10.21 16697
港 区 257,776 20.37 12655
新宿区 346,028 18.22 18992
文京区 239,624 11.29 21224
台東区 212,032 10.11 20973
墨田区 272,158 13.77 19765
江東区 523,631 43.01 12175
品川区 418,658 22.84 18330
目黒区 284,282 14.67 19378
大田区 740,312 61.86 11968
世田谷区 937,615 58.05 16152
渋谷区 241,998 15.11 16016
中野区 341,843 15.59 21927
杉並区 586,102 34.06 17208
豊島区 297,751 13.01 22886
北 区 352,925 20.61 17124
荒川区 216,588 10.16 21318
板橋区 580,746 32.22 18024
練馬区 750,075 48.08 15601
足立区 692,322 53.25 13001
葛飾区 450,868 34.80 12956
江戸川区 690,645 49.90 13841
(合計) 9,671,141 627.53 15411
令和4年1月1日現在(総務局統計部)
23区あると順位をつけたくなる。
市町村コード 地図縮尺 面積順 人口順 密度順
1 千代田区 1:7,500 19 23 23
2 中央区 1:7,500 21 22 13
3 港 区 1:8,000 12 17 20
4 新宿区 1:10,000 13 12 8
5 文京区 1:8,500 20 19 4
6 台東区 1:8,500 23 21 5
7 墨田区 1:10,000 17 16 6
8 江東区 1:12,000 6 8 21
9 品川区 1:10,000 10 10 9
10 目黒区 1:10,000 16 15 7
11 大田区 なし 1 3 22
12 世田谷区 1:13,000 2 1 14
13 渋谷区 1:10,000 15 18 15
14 中野区 なし 14 13 2
15 杉並区 1:12,000 8 6 11
16 豊島区 1:9,500 18 14 1
17 北 区 1:11,000 11 11 12
18 荒川区 1:8,000 22 20 3
19 板橋区 1:15,000 9 7 10
20 練馬区 1:13,000 5 2 16
21 足立区 なし 3 4 18
22 葛飾区 1:15,000 7 9 19
23 江戸川区 1:15,300 4 5 17
地図の縮小率が一番小さいのは、1/7500の千代田、中央。この2区が一番狭いかと思ったら19位、21位である。23位台東、22位荒川のほうが狭い。文京区も20位で19位の千代田区より狭いのは意外だった。縮尺は区の形、紙の大きさで決まるから、縮尺順位と面積順位は少し異なる。
一番広いのは埋め立てを盛んにしている大田区。内陸の世田谷を抜いた。
3位以下は、足立、江戸川、練馬、江東と続く。戦後23区としたときに田舎だった周辺部か、埋め立て可能な沿岸部である。
へーぇ、大田区は台東区の6倍も広いのか。
人口は世田谷が一番多い。93万人とは政令指定都市と同じくらい。
大正時代1920年は台東区(下谷+浅草)が今より多い44万人だったのに対し、のちに世田谷区となる村々の合計はわずか4万人であった。昭和22年の世田谷区成立のとき台東区の5.7倍の面積だったのは当然だった(台東区は空襲で人口激減、戻らなかった)
世田谷以下は、練馬、大田、足立、江戸川の順。旧東京市の外だったから面積も広くて宅地拡大の余地が大きく、戦後の人口の急増を吸収した。
一番人口が少ないのは皇居や丸の内のある千代田区。世田谷区の14分の1である。
人口密度は千代田区を除けば、あまり差はなく、1平方キロあたり1万人から2万人が多い。23区内は均一に密集していることを示す。
千代田区に次いで人口密度が低いのは、大田区と江東区。前者は羽田空港や大井競馬場など、後者は有明や夢の島など、埋め立て地が多く、人が住んでいないところがある。
逆に密度が高いのは、豊島、中野、荒川、文京、台東、墨田の順で、大きな工場や河川敷公園などのない区である。
集めた地図は壁に貼るわけでもない。
目的が集めることだったから用がない。
しかし額に入れて毎日眺め、月ごとに変えれば、23区それぞれ興味がわいてくるかもしれない。
一周するのに2年か。
残りの人生を考えると長いような短いような。
地図集めブログ
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