2024年4月19日金曜日

はるか、はるみ、清見と迷って「せとか」を買う

千駄木に引っ越して11年、野菜を作り始めて10年。

毎年のように庭木を伐採し作付面積を広げ、年間30種類以上の野菜を作っている。
(昨年は37種、自然と庭の端に出てくるニラ、セリ、ミョウガ、フキなどは8種、果樹4種、過去に作った野菜は8種、あわせると58種)
量も大根は30本、白菜、キャベツも16株くらい作るから自分では食べきれず、かといって差し上げる人もいない。大分無駄にしてしまった。
無駄になるのは、交際範囲が狭くてあげる人がいないこともあるが、虫に食われたり、葉の間に土が入ったり、成長しすぎたりして、スーパーの野菜と比べると美しくなく、差し上げるのに躊躇することによる。

その点、果物は人に上げやすい。
夏ミカン、温州ミカンは喜ばれた。
今季、温州ミカンは217個、夏ミカンは56個収穫した。

3本目の柑橘、不知火は2022年2月に苗を植えて3年目の今年、木は小さいが初めて花が咲きそう。
東京は冬に晴れの日が多く、桜の開花も西日本より早いことから、意外と柑橘類の栽培に適しているのではないか?
そこで4本目の柑橘類を植えたくなってきた。

今は新芽の出ているころだから植え付けに良い時期とは思えず、ホームセンターに苗はあるだろうか。

もちろん、文京区のオリンピック白山店やコーナンドイト後楽園店にはあるはずがなく、大宮の島忠ホームズ、さいたま新都心のビバホーム、東十条のケーヨーデイツー、王子のコーナンにもないことが分かっている。昨年、島忠、足立小台店で少し苗を見たので、自転車で延々北方にむかい隅田川を越え、行ってみた。

予想外に柑橘の苗がいっぱいあった。
2024₋04₋17
はるか 2178円(税込み)
せとか、はるみ 2068円
清見 1958円
早生温州、すだち、甘夏、伊予柑、ポンカン、レモン 1738円

ほとんどが1本ずつで売れたら品切れになるから、これらが常にあるとは限らないし、冬には他の品種もあったのかもしれない。

伊奈町で買ったイチジクや不知火が1000円以下だったことを思うと高い。しかし電車賃はそれ以上だし、ランチで2000円出すこともある。何より夢を買うことを思えばこれほど安いものはない。

さて、予想外に種類があってどれを買おうか迷う。
先日、清見を初めて食べて美味しかった。
「温州ミカン」(宮川早生)と外国産の「トロビタオレンジ」を交配させたもので、日本で育成・公表された最初のタンゴール(ミカンとオレンジの交配種の総称)である。清見タンゴール、清見オレンジとも呼ばれる。

柑橘類はリンゴなどと違い、たいてい受粉木が別になくとも1本植えれば実が生る。
しかし念のためスマホで清見を調べた。

この日、売り場でネットをみるまでずっと「清美」だと思っていた。はるか、はるみもあるし。
若いころ1,2度食事した小平清美ちゃんを思い出し、清美を買おうと手を伸ばした。

しかしその前に「せとか」の苗があった。
8年前の2016年11月に上尾のセキチューで「せとか」と温州ミカンが並んでいたとき、安いほうの温州ミカンを買ったことを思い出した。そのときは都心でまともなミカンが取れるとは思わず、遊び半分だったから安いほうにした。
しかし温州ミカンは予想以上に良い仕事をしている。内袋(じょうのう膜)は堅いが味は良い。人にあげると喜んでもらえる。消毒もせず肥料も上げず、小さい木なのに200個以上も実をつけた。
ただ、あのとき「せとか」を買っていたら千駄木菜園の果樹栽培はまた違ったものになったかもしれないと思う。

せとかもその場でスマホを見て調べた。
タンゴールの清見とアンコールオレンジを掛け合せたものにやはりタンゴールである「マーコット」を交配し、育成された品種という。1984年に長崎県口之津の農研機構(旧農林水産省果樹試験場)で作られたという。
ん?
口之津の果樹試験場といえば、教養、薬学の同級生、久留米大付属出身の田中淳二君の父上が勤務していたところで、50年近く前、彼のアパートで田舎から送られてきた不格好な柑橘を何個か頂いたことを思い出す。

そうか、「せとか」は清見をもとにして作られたか。
後から作られたということは、清見より優れているのだろうか?

清見は戦後すぐの1949年に最初のタンゴールとして誕生したが、1974年から12県で耐病性など試験され、79年に「清見」と命名、「タンゴール農林1号」として登録された。

清見は雄性不稔のため(自身の雄性配偶子を作れない)、他の柑橘から受粉せねばならない。かつ柑橘の多くは1個のタネから複数発芽する多胚性だが、清見は単胚性で一つの種から一本しか芽が出ない。つまり品種改良で雑種を作りやすい。
その結果、清見は多くのブランド柑橘の親となった。

「不知火」-「清見」×「ポンカン」
「陽香」(キラキラネームだとハルカだがヨウコウ)-「清見」×「中野3号ポンカン」
(不知火と比較して、果実の形が扁平、果皮が濃橙色、果面が滑らか)
「はるみ」-「清見」×「ポンカンF-2432」
「せとか」-「清見」×「アンコール」×「マーコット」
「麗紅」-「清見」×「アンコール」×「マーコット」
(せとかと同じ交配組み合わせでいくつか選抜されたものの一つ)

ちなみに島忠で一番値段が高かった「はるか」は果樹試験場でなく、福岡県糸島郡の農家が自宅の庭で「日向夏」の自然交雑実生から育てた。1986年に初めて結実し、1996年に品種登録された。遺伝子解析でヒュウガナツが種子親、ナツミカンが花粉親と判明した。

さて何を買うか。
「はるか」は夏ミカン的だから駄目、「はるみ」は「せとか」に似ているが隔年結果性が強いらしく栽培が難しそう。

そこで清見とせとかに絞った。
迷った挙句、あとから登場して清見より糖度も高く小売値も高い「せとか」にした。
せとかという女性は知らないけれども。

しかし、せとかの苗を家まで大事に持ってきたはいいが、まじめな話、植える場所がない。
2024₋04₋17
子どもたちがいたころの自転車置き場。
小松菜を植えていたが、一度摘んだだけで放置し花が咲いた。
この場所に植えようか。
しかし木が大きくなると水道の検針の人が困るな。
温州ミカン
この隣に植えると野菜畑がつぶれる。
夏ミカンとイチジク
イチジクを移植してせとかを植えるか?
しかしイチジクの根は長く移植できるかどうか。
左の桃、右の不知火、柿
この間に植えるか。
イチゴの栽培台になっている桜の切り株のところがちょうど良いが今は植えられない。
不知火の隣に仮植えして、イチゴが終わったら桜の切り株を掘り出し、そこに移動させるか。

とりあえずノラボウ菜を抜いて、そこに仮植えした。
問題は桜の切り株が今年、自力で取り除けるかどうか?
せとかの苗が大きくなってしまうと移植も大変だから、何としても今年の夏前に桜株を除きたい。人間、真剣にやればたいていのことはできるだろう。(一昨年、昨年は掘り出せなかったけれども)。

切り株が朽ち果て掘り出してから苗を買ってくればいいようなものだが、この年齢になるといつ死ぬか分からない。果樹は苗を植えてから4,5年はかかる。
温州ミカンは4年目の2020年に初めて6個生り、翌年から64個、77個と増え、200個生ったのは7年目である。

1年でも早く植えたい。
そういう年齢になった。
長野の父は75歳で畑の巨峰を伐採しピオーネを植えたが、その半年後にがんが発覚した。


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