2018年1月25日木曜日

ニューシャトルと大雪、伊奈町の記憶

ニューシャトルの高架に電車は見えない(1/23)

1月22日の大雪の後遺症も解消しつつある中、
さいたま大宮から出るニューシャトルだけは、混乱が続いた。
22日当日は、首都圏がすべてマヒしたから夕方の大混乱は仕方ないとして、
23日は、すっかりいい天気のもと、午前中停電で全面運休、午後は復旧するも、本数減らして徐行、夕方大宮駅は入場規制。
24日は、朝、まだ入場規制で大宮駅は大混雑。終日ダイヤ乱れる。
25日は、入場規制を避けるべく早めに出ると、7:30ころ通常運転。しかしその後凍結の影響で遅延、解消は10:10。
1月25日、志久駅19:39
ダイヤは正常になり、すなわち38分が行ったばかり。
この写真を撮るために一本見送った。

さて、23日以来、Yahoo路線情報のつぶやきにはニューシャトルに関して多くの人が情報、感想を寄せていたが、「天候不順に強い最強路線がつぶれた」という類のものが多かった。

確かにニューシャトルは今まで運休がほとんどなかったが、それは
川越線、武蔵野線などで見られる、線路の冠水や踏切事故がなく、荒川を渡らないため強風徐行もなく、宇都宮、高崎線などによくある湘南との乗り入れによる遅延の連鎖がなかったからである。

しかしこのニューシャトルこそ、雪に最も弱い路線なのだ。
今つぶやく人は若い人が多かったり、新しく越してきた人が多いから知らないだろうが、
ゴムタイヤで走り、丸山駅、大宮駅などでは坂になっているから、スリップしやすく、雪が積もったらもうお手上げ。融けるまで待つしかない。

私は身をもって知っている。
28年前の1990年2月2日、ニューシャトルは完全運休した。
89年に引っ越して3年目、初めての大雪でニューシャトルの弱さを知った。
当時Ca拮抗薬と神経細胞について論文を書いていて、出勤はあきらめ伊奈町図書館に出かけた。真っ青な空、屋根からぽたぽた落ちる雪解け水。
結局終日、週刊誌や文芸春秋、今はないマルコポーロなどの雑誌を読んだりして仕事はしなかったが。

当時の伊奈町を知る資料を持っている。
町民に配られたパンフレット。裏が地図。
伊奈町1992

これを持っている人はあまりいないだろう。
航空写真を見れば佐藤栄学園(自動車大学校、栄北高)はなく、日本薬科大学はKDDの研修所で鉄塔が立っている。
まだ伊奈学園、県民活動センターの周りは田んぼで、ニューシャトルは1時間に2本だけ(現在は6本)。
本数が少ないのに空いていて、毎朝出勤は座って大宮まで出ていた。
混雑する高崎線や宇都宮線より地価も安く、
「北足立郡」に家を買って正解と思ったものだ。

さて、今回の大雪、ニューシャトルは頑張った。
「徐行のため遅れが出ています」と言いながら、氷でごつごつした路面で、振動でねじが緩むのではないかと心配になるほど速度を上げ(定時運行を目指した)、ときおり氷塊が跳ねて当たるのか、避けられずに乗り上げるのか、底にガツンという衝撃が来る。
JRの「異音の影響で点検します」どころでなく、床が壊れるかと思うほどである。
28年前と違って大寒波の影響で氷塊の融けるのが遅い。
数日にわたる遅延は仕方がない。

ついでに書くと、ニューシャトルは雪に加え、犬にも弱い。
大宮以外フリーパスに近い各駅の改札を犬が通過して、ひとたび走行路に降りてしまえば、周りは壁の延々続く高架。脇に逃げることもできず、電車の動きは犬次第、そろそろ付いていくしかない。
昔住んでいたころ
「ただいま犬が電車の下に潜り込んでしまい、出てこないので走行できません・・・」
という車内放送を聞いたとき、急いでいるにもかかわらず楽しかった。
ユリカモメや日暮里舎人ライナーも似たような構造だが、雪の量、野良犬の少なさでニューシャトルより心配はない。

その後1996年に指扇に引っ越したが、2013年に転職すると、17年ぶりにニューシャトルで通うことになった。かつて7年過ごし、子ども二人がここで生まれ、KDDの森でカブトムシを探し、親子田植え体験、床下浸水、102軒の中山住宅自治会長、など思い出も多い伊奈町。
引っ越した時は二度と来る用事はないと思っていたが、不思議な縁を感じる。

一本見送って寒さで震えながら待っていたら曇りガラスのようなニューシャトルが来た。
泥水が跳ねた汚れかと思ったら、水蒸気がガラス面に凝結、結晶化したものだった。
恐るべき寒波。もちろん何十年のっていて初めて見た。


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