2021年2月20日土曜日

虎ノ門3 ヒルズと森ビルの分裂、マッカーサー道路

 2月14日 新橋駅から烏森通りをまっすぐ西に10分ほど歩くと左(南)に虎ノ門ヒルズがある。

9:14
左(手前)からビジネスタワー、森タワー、レジデンシャルタワー

日曜の朝、コロナということもあるのか人がいない。
9:15
中央の森タワー
人がいなくてもエスカレーターは動いている。上がってみた。

9:16
この庭の下を環二通り(マッカーサー通り)が通って有明まで行くらしい。

森ビル株式会社は森泰吉郎が1955年、森不動産を設立したことに始まる。
翌年西新橋第2森ビル竣工。1957年、西新橋第1森ビルを完成させ、以後、貸ビル業者として竣工順に番号を付けたビルを西新橋周辺につぎつぎと建てた。

上京した1975年、まもなく「森ビル」という単語を知った記憶がある。
住民がビル建設を反対する相手としてだったと思う。
草取りのスリランカ大使館(別ブログ)の西の階段あたりでビラでも見たかもしれない。
のちにアークヒルズとして再開発されたところだ。

現在、森ビルは再開発で解体されたものも多いが、リクルート創業地でもある最初の西新橋第2森ビルは残っており、ここ虎ノ門にも第12,15、30、33、35-37がある。

第37ビルは1981年9月竣工、1999年リニューアルした。

その後はタワー1棟でも複合施設でも「ヒルズ」ブランドを使っている。

 アークヒルズ(1986、ARKはAkasaka=Roppongi  Knot)
 愛宕グリーンヒルズ(2001、愛宕山青松寺の東にタワー2つそびえる)
 元麻布ヒルズ(2002、地上29階、目立つサボテン型)
 六本木ヒルズ(2003、森ビル本社、森美術館など)
 オランダヒルズ(2005、神谷町駅そば桜田通り)
 表参道ヒルズ(2006、珍しく地上3階の低層)
 アークヒルズ仙石山森タワー(2012、六本木・仙石山の森ビル)
 虎ノ門ヒルズ(タワーは2014年竣工、さらに建設中)

ほかにラフォーレ原宿(1978年竣工、La Foretは森!)を建て、プルデンシャルタワー(2002)、GINZA SIX(2017)も共同所有者である。

1993年(平成5年)に創業者、泰吉郎が死去すると、次男の森稔(1934 - 2012)が森ビル、三男の森章(1936- )がグループ会社である森ビル開発(現・森トラスト)や森ビル観光(現・森トラスト・ホテルズ&リゾーツ)を継いだ。

しかし経営方針の対立から1999年に森章の企業群は森ビルグループから離脱、現在は一切資本関係がない別会社となっている。

さらに2000年以降は、以前ブログに書いた御殿山ヒルズが御殿山トラストシティ、トラストタワーに改名したように、森トラストは保有する物件から「森」や「ヒルズ」の文字を外すことが多くなっている。すぐそばの虎ノ門パストラル跡地にできた神谷町トラストタワーも森ビルではなく、森トラストである。

9:17
547戸、地上54階の超高層マンションとなる虎ノ門ヒルズ・レジデンシャルタワーは完成間近。

今日の用事はここ虎ノ門ヒルズなのだが、まだ10分くらい時間があるので周りを歩いてみた。
9:18
桜田通りを振り返る。右、虎ノ門ヒルズ(ビジネスタワー)
左のほうから環状二号線(環二通り、マッカーサー通り)がやってきて桜田通りと交差し(虎ノ門二丁目)、ヒルズの下をくぐるように地下に潜り、JRの少し手前で地上に出る。

環状2号は、環状1号(内堀通り)の外側であり、北と西は外堀通りだが、赤坂一丁目交差点(特許庁の前あたり)から外堀通りから分かれ、築地、豊洲、有明方面に向かう。

この道路は戦後の復興計画の一つだったが、赤坂、虎ノ門から東は土地買収が困難で建設が凍結されていた。
しかし1989年の法改正によって立体道路制度がつくられ、道路上に建物を建てることが可能になった。すなわち、公共事業の道路と民間の高層ビルを一体化した再開発事業が可能となった。それが虎ノ門ヒルズである。

虎ノ門はめったに来ないので、急いで周りを歩いた。
9:20 港区立鞆絵小学校跡地
9:22 虎ノ門パストラル跡地(神谷町トラストタワー。先述のように森トラストである)
9:25 霊南坂上
9:27 オークラ
9:29 アメリカ大使館
(以上別ブログに書いた)


1975年 区分地図(国際地学協会)
虎ノ門という地名はなく、虎ノ門ヒルズは芝西久保桜川町だった。

1995年 ミリオンマップ(東京地図出版)
環二通りはなく、虎ノ門ヒルズの区画には森ビルが5,10、17,23,34と、いっぱいある。

9:34 桜田通り
ビジネスタワー(左、2020、36階)と森タワー(2014)、レジデンシャルタワー(右、今年)
将来は桜田通りの西にステーションタワー(2023年)ができ4つになる。
急いで汐見坂をおりて虎ノ門ヒルズに戻ってきたが、遅刻、焦っている。

港区は、同じように千代田区に隣接する文京区とは大きく違う。
官庁街が南に伸びたせいもあっただろうが、近年の発展に森ビルの存在は大きい。
何とかヒルズは、お金持ちが住みたい街、ナンバーワンでもある。
森ビルは大規模開発、超高層にすることにより、緑地を増やすというが、道路から地形まで変えてしまう。懐かしさ、記憶というものを消してしまう。
しかしヒルズに住みたいような人々は、港区で育ったわけでもなく、昔の景色などに価値を感じないだろう。

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