2022年6月18日土曜日

アジサイの花は2種類ある アントシアニンと変色

退職してから歩くスピードが遅くなり(老化?)、そのぶん家々の草花にも目が行くようになった。今はアジサイ。

アジサイの花には2種類あるようだ。

2022-06-17
我が家にも両方あるが、一つは花序が均一の大きな花で構成されているもの。
(花序とは花のついた茎全体、要するに花の塊。または茎に対する花のつき方のことをいう)

2022-06-16
もう一つは大きな花が花序の外周だけにあり、その中に小さな花が密集しているもの。

アジサイは挿し木が容易で、倒れた茎からも発根して繁殖するほど。
だから鑑賞用に大いに品種改良された。

原産地は意外なことに日本である。
原種は花序の周囲に萼(がく)が大きく発達した装飾花(中性花)が並び、中心に小さな両性花が密集する(2枚目の写真)。この原種をガクアジサイというが、もちろん萼ではなく、額縁の額である。
そして、品種改良し、周囲にあった大型の装飾花を全体に広げたのがホンアジサイである。「額咲き」に対して「手まり咲き」というのは花序が球形だから(1枚目の写真)。
もちろんガクアジサイのまま品種改良されているものもある。

さて、挿し木で簡単に増えるため、我が家の株はみな妻が友人からもらったもの。
歩いていて珍しいもの、きれいなものは、欲しくなる。
公道の植え込みに近所の人が勝手に(違法で)植えているものは、花が終わり誰も振り向かない秋ごろ、小さな枝をもらっても怒られないと思うがどうだろう。(そこまで興味がないからやらないけど)

しかし庭に植えて同じ花が咲くとは限らない。
理由の一つは土壌により花の色が変わるからだ。

たとえば、土が「酸性ならば青、アルカリ性ならば赤」といわれる。
あれ? 
色素アントシアニンは紫キャベツからとると、これとは反対に「酸性なら赤、アルカリなら青、緑」だが?(子ども大学で実験した)
つまりフェノール類はアルカリ性でプロトンが離れると共役系が長く伸び、長波長(赤)を吸収し青くなる。

アントシアニンは誘導体によって違うのかな?
調べたら、花の色はアントシアニンだけで決まるのでなく補助色素とアルミニウムイオンによっても変わるそうだ。
すなわち、アントシアニンであるデルフィニジン3-O -グルコシドと補助色素5-O-カフェオイルキナ酸(2)または5-O -p-クマロイルキナ酸が Al3+を中心に錯体を作る。これが青い。
つまり錯体の可視光線吸収スペクトルは、共役二重結合が長く伸び(というか影響しあい)、アントシアニン単独よりも長波長(赤方向)にいき、反射される光は単独よりも青くなるのだろう。

そして酸性だと地中のAlがイオン化され吸収されやすくなり錯体が増え、青が強まるが、アルカリだと青の錯体が減る。
pHによってアントシアニン自体の色が変わるより、pHによって錯体量が変化するほうが花の色調への影響が大きいのだ。


これが分かったのは2015年(名大、Oyamaら)だから、身近な面白い研究はまだいっぱい残っている。



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