2022年6月17日金曜日

イチジクの語源、花はどこに?


2022-06-08
退職したら晴耕雨読と思ったら、晴耕雨耕いや、毎日耕すこともないので晴れても雨でも庭に出て野菜を眺めている。
ふと、イチジクに実がついているのに気が付いた。

ちょうど1年前の6月、西日暮里駅に行く途中の道灌山通りの路上から鉢植えを拾ってきたもの。その時は実をつけていなかったから、この株は今年初めて実をつけたのかもしれない。

鉢が置いてあった場所の古い家屋は今やすっかり取り壊され、三菱地所レジデンスのマンションが建設中である。現場もすっかり変わったが、イチジクも小さな鉢から解放され、1年ですっかり姿を変えた。

鉢は2つあり、しばらく置いてあったが誰も持って行かず持ち主は転居したのか枯れそうだったので、2つとも引き取った。

実はイチジクはもう一本ある。

退職直前の今年2月、伊奈町のホームセンター「コメリ」でイチジクの苗を買った。
もう植える場所はなかったのだが、拾った2本が本当にイチジクの木か確証がなかったこと、イチジクだったとしても観葉植物として育てられ実がなるか不明なこと、東京都心ではイチジクの苗が売っていないこと、から保険の意味で買った。
すなわち狭い庭に3本もある。
2022-06-08
4か月前にデコポンと一緒に買った苗。
植えるところがないからまだ鉢植えにしている。

イチジクにこだわるのは、2017年に苗を買って実をつけ始めたころ、2020年カミキリムシにやられ枯れてしまい、十分に楽しんでいなかったことによる。

乾燥イチジクの入ったパンが好きなので、毎朝食べてみたい。
それから料理にも使えるのではなかろうか。
他の果物と違って、甘さ、酸っぱさがゆるいから、野菜のように、ナスのように使えるのではなかろうか。あの種のツブツブ感は他の食材にない。
2022-06-16
2つ目の鉢にあったイチジク
これも狭苦しいが、写真左の山茶花は秋に伐採する予定。

イチジクは無花果と書く。
要するに花が咲かないで実がなる。だから桃やミカンと違い、今回のように気が付いたら実がついていることになる。

花は、将来肥大化すれば実(果嚢)になる花嚢の中つく(隠頭花序)。すなわち初夏に、花嚢の内面に無数の花(小果)をつける。

雌雄異株であるが、イチジク属には雌雄同株もある。すなわち同一の花嚢に雄花、雌花をつける種がある。受粉は内部に共生するイチジクコバチによる。しかし日本にイチジクコバチはおらず、受粉しなくても果実が肥大する単為結果性の品種が栽培されている。

花が見えないというのは、進化の点からみると珍しい。
そもそも、遺伝子の傷が現れないように、手軽な単為生殖から面倒でも有性生殖が進化の点で有利となった。
その頃は放射線が地球上に降り注ぎ、突然変異が多かったのだろう。しかし酸素が増え放射線が減り、生物のほうの防御機構が整ってくると突然変異は少なくなる。
とくに動けない植物の場合、同じ株で両性の配偶子(精子、卵子)を持つものも現れた。これでは両性とも同じ個体に属し、すなわち同じゲノムになってしまうから遺伝子の傷はカバーされないのだが、単為生殖と同じ手軽さでメリットがデメリットを上回ったのだろう。
しかし、雌雄異株はもちろん、花が雌雄別(キウリなど)、花が同じもの(ナスなど)もすべて、受粉には昆虫などの助けを必要とする。そのため虫にも目立つ派手な花が発達した。

だから花が見えない植物など繁栄するはずはないのだが、実が美味しかったのだろう。進化と繁栄は、自然界における生存に有利だったというのでなく、栽培してくれる人間の都合で進んだ。

古代ギリシャ、ローマなど西アジアから地中海世界では古くから知られ、ヨルダンの新石器時代の遺跡から、1万年以上前の炭化した実が出土、イチジクが世界最古の栽培された植物であった可能性がいわれている。
アダムとイブが下半身を隠したのもイチジクの葉っぱ。
ちなみに蛇にそそのかされて食べた禁断の実はリンゴではなくイチジクだったという説もある。それくらい歴史的に特別な植物である。

日本には1591年にポルトガルの神父が肥後天草に伝えた説、江戸時代初期に中国から長崎に伝来した説がある。南蛮柿といわれたらしい。中国名「映日果」を日本語読みしたエイジツカがなまってイチジクになったといわれる。ちなみに「映日」は13世紀頃にイラン、インドから中国に伝わったときに、中世ペルシア語 anjīrを音写したとされる。

南蛮柿というなら、イチジクの隣の柿も料理に使えるかな?
退職すると土いじりのほかに料理にも目が行く。
早くイチジクをつかってみたい。

ところで、イチジクは挿し木でも増えるらしい。
カミキリムシにやられる前に増やしておけばよかった。


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