2019年8月6日火曜日

東大13 外国人観光客、薬学部4階

8月3日、猛暑日。 医図書で調べもの。
飽きたので『陽だまりの樹』を読む。
公立図書館にあれば人々が群がるだろうが、ここでは装飾品の置物のようだ。
手に取る人は誰もいない。ソファでゆっくり読む。

顔を上げると窓の外に七徳堂がみえた。
散歩に出る。
どんどん古いものを壊していく東大にあって、ここだけは昔と変わらない。
グランドに金網ができたことで、物干し場になった。
この日は35度。
理学部化学教室。40年前と変わらない。
博物館のような建物がまだ使われているのだろうか、と下を覗くと大小多数のエアコン室外機が動いていた。

夏休み、土曜ということもあるだろうが、歩いている人間の9割が学外者ではないか。
そのうち半分以上は外国人観光客。
観光でなく住んでいる者もいるだろう。

起伏ある敷地に歴史ある建物と大きな樹木。
池も庭園もレストランもある。
近くの上野公園ほど混雑していない。無料。
よく考えれば東京でも魅力的な観光スポットだ。
日本人は大学と思っているが、彼らにとってはネットで紹介される東京名所なのだろう。
男は小太り、Tシャツ、半ズボン、袈裟掛けショルダーバック、一見して日本人とは違うが、外見より考え方の違いの方が大きい。
三四郎池に下りていく石段で腰をおろして涼んでいる。
邪魔だと思ったが、ベンチにしか座らない日本人より柔軟、合理的と感心する。
移民国家に舵を切ったから、この国はどんどん変わっていくだろう。

外国人ばかりと思ったら、日本の高校生の集団。
引率の先生もいた。修学旅行の季節?

東大図書館の前にもアジア人観光客。入って良いかどうか躊躇している。
と思ったら、建物内のカードリーダーのあるゲートのギリギリまで入って中のベンチで休憩している人々がいた。なかなか日本人ではできない。

でも私も外国に行ったら大学に行って、こういう建物に入るだろう。
2017年 5 月、北側広場の地下に完成した別館は地下 4 層から成り、地下 2 階から地下 4 階には300万冊の蔵書を保存できる自動書庫が導入された。
蔵書を移したことで、図書館本体は少し昔の余裕を取り戻したかもしれない。

この日は薬学部で午後から日本薬史学会柴田フォーラム。
まだ少し時間があったのでうろうろした。
正面玄関の自動販売機は、39年前、反対側(手前)にあった。
池田さんは17時すぎると不忍池を経て上野駅から帰っていた。
私は自転車で谷中に帰る。そこで、あるとき偶然を装って池之端門で追いつき、上野公園を一緒に歩こうと企んだ。

夕方、彼女が隣の実験室から帰るのをみて、こちらも頃合いを見計らって追いかけた。
ところが1階まで来ると、ここで彼女がパックの牛乳を買って立ち飲みしていた。
私は話しかける用件も勇気もなく、計画がとん挫した記憶がある。
そのあとすごすごと帰ったか、実験室に戻ったか。

左奥、かつての事務室は講義室になっていた。

自分が過ごした4階にあがる。
かつては廊下を歩けば物理分析、薬化学、生薬天然物の順に並んでいたが、その廊下が行き止まり、なくなっていた。
1フロアを1講座にしたのか、廊下を実験室にしてしまったようだ。

かつての廊下の反対側、生薬天然物のあった東端に行きたかったので別の階へ回ってみたが、すべて廊下は閉鎖されている。仕方なく1階まで下りて東の階段を上がってみた。
4階の東端。
便所は懐かしい。エレベーターは乗った記憶がない。
左の入り口は低温室、コピー機置き場を経て教授室につながっていた。
この踊り場には野球の道具が置かれていて、素振りなどの練習もここだった。

3年間過ごしたかつての生薬1研は、閉じられた廊下の手前だったのでガラス越しに見えた。狭く仕切られていた。

2019年8月

かつての廊下

見物を終え、薬史学会の会場に急いだ。

自転車で帰ろうとしたら偶然竹島氏に遭遇。
京都から筋肉関係の班会議でいらしたらしい。


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