2017年4月16日日曜日

賞味期限が昭和65年、を食べてみた

千駄木菜園 総目次


一人暮らしの叔父の家で古いレトルト食品が出てきた。
手つかずの場所でひっそり、今まで何回もあった整理を逃れてきたものだ。





注目すべきは中央。
味の素のCookDo・芽菜肉糸(ヤーツァイロースー)だが、
賞味期限が 65.2.3 と書いてある。
ん?
1965年?
いや、そんなに古いわけがない、あ、昭和?
その下に、63.8.4とあった。1988年、この5か月後に昭和は終わる。
そうか、作ってから1年半後が賞味期限なのね。
このときは27歳、24歳の下二人の子は生まれていなかったな・・・


叔父は捨てろというが、いや、これはお宝じゃないか。
お問い合わせの味の素広報の電話が
03-272-1111(代)と市内局番が3ケタである。

で、他の二つとともに持ってきた。
29年前のものでも食べるつもりである。

大学時代、水野伝一先生の講義で、忘れられない話がでた。
「皆さん、汚い、ということをサイエンスで考えなさい。病原菌なのか、臭いなのか、見た目なのか。私なんか床に落ちたものでも食べられます」
それをまだ覚えている。
私が考えていたことを後押ししてくれたからだ。

小学生のころ、牛やヤギが少々泥がついていても、一部腐っていても、汚い桶のリンゴを旨そうに食べていたのを見て、同じ動物なら大丈夫だろう、と思った。

薬学に進んでさらに理屈っぽくなった。
・1年半もつ、というなら、細菌は嫌気性であっても存在しないことは保証済みである。
・29年室温、密封、水系溶媒で起こる反応はエステル、アミドの加水分解である。
・分解は水溶性が増すが、一般に毒性は低下する。
・毒性物質はそう簡単には自然にできない。
・問題は風味、粘度の変化

妻は、「信じられない」といい、調理するのも拒否。
では自分で作ろうと思ったが、日曜もダンスの競技会、練習があり、1か月以上たってしまった。30年近く放置したのだから、もう何年放っておいても変わりはない。
で、今日4月16日。

作り方を見ると、豚肉の他に、もやし、さやえんどう、セロリ、シメジ、人参とあるが、千駄木菜園の白菜とホウレンソウを使うことにする。ネギ(エシャロット)も庭から採ってきたが、使わなかった。
開封すると、ちょっと変わった臭い。
古くなったからなのか、この製品の匂いなのか不明。
箸でつまんだのは白菜の芯。暖かくなって花が咲いてしまった。
緑の輪は、これも育ちすぎたホウレンソウのトウ立ちの茎。

で、実食。
特にまずくはない。
開封した時、肉片のようなものが見えたが、調理後には確認できず。
調理前に、レトルトパックの中身を味見するべきだった。

レトルトカレーのように具があるわけではなく、結局捨てなかっただけで、美味しかった、得した、という感じはしなかった。

来年、きりのいい製造後30年で食べればよかった、と思った。
妻は呆れていた。


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2 件のコメント:

  1. なるほど、29年でも大丈夫なんですね?
    安心して3年モノのクックドゥを食べてみます。ありがとうございました。

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    1. 昔は賞味期限なんて書いてありませんでした。
      カビの生えたところだけ捨てて食べたものです。

      多分酸っぱくなったものでも大丈夫だと思います。(おいしくないから食べないけど)
      そういうものはありふれた常在菌が繁殖しています。
      猛毒の菌はそんなに家庭のあちこちにいるわけではありません。そして、むしろ味を変えずに毒素を出したり感染したりするから怖い。

      最近、10年くらい前のみかんの缶詰をみつけて開けたら水分がなくなっていて黒っぽくなっていました。食べなかったけど(まずそうだった)多分食べても大丈夫です。

      我が家は賞味期限前日の半額のものをよく買ってきて、そこから平気で1週間、2週間くらい放置しています。

      責任持ちませんが。

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