我が家の桜は周囲3メートルある。文京区の保護樹木に指定されていて、剪定費用に補助金が出る(半額)。しかし昨年から補助金支給が3年に一回となった。
予算には限りがあるから、どこかを増やしたらどこかを減らさねばならないのは分かる。
ただ文京区をどうしたいのかというビジョンはあるか?
この区の売りは明治(江戸)以来つづく良質な住宅地と文化人がすんだという歴史、都心ながら坂道などに残る緑ではなかったか?
それが今では、古い住宅が売り出されると低層マンションか、あるいは4分5分され、庭のない3階建ての戸建てになる。幹線道路は高層マンション、どんどん緑がなくなっていく。今の区長は、子供若者を増やすことを優先させ、マンション建設に積極的と聞く。
しかしそういうことはほかの区に任せ、文京区は文化遺産と緑地の保存に努力したほうが、長い目で見たときに良いのではないか? 都内なら人口の多さよりも環境の魅力のほうが重要だと思うのだが。
私はまだ働いているから良いが、年金暮らしの人は、金がかかって落ち葉掃きなど大変な樹木など間違いなく切ってしまう。コンクリートの箱モノだけの区にしたいのだろうか。
さて、そうはいっても我が家の桜は区の制度と関係なく生きている。
普通の樹木なら大きく切れば3年に一回で良いかもしれないが、桜の老木ともなると一気に切ると枯れてしまう。今年はこちらの方面、来年はあちらの方面、と計画を立て、上を詰めることによってその下方の横枝を伸ばし、光合成の盛んな横枝が育ったら、すぐその上を切り落とすことによって、だんだん高さを下げていく。
高さを下げる理由は、近所迷惑となる落ち葉の飛散と強風による倒木を防ぐためである。以前住んでいた人が2011年までほとんど手を付けなかったため、今になって苦労している。
昨年は南側の太いところを切ったため、温存した北のほうが奔放に伸びている。
ちょうど一人暮らしをしたいと言って出て行った息子の部屋の前だ。一番いい部屋にいた彼は、昨年まで桜を見ていたのだろうか?
2018-2-11
2018-02-11
2013年以来お願いしているH造園Tさん。
初期のころは植物生理学的に疑問に思うことがあったり、あるいは樹形に対して注文したこともあったが、彼の人柄が好きなので、最近は全面的にお任せしている。良い人に巡り合ったと思っている。
この日も、共同でやることが多いというF造園の人と一緒に来られた。高所での足場の確保の方法や切り落としに関して、TさんはF造園の人を全面的に信頼して、木を見上げながら二人で相談している。
2018-02-12
今回は桜のほかにモミジもお願いしてある。ここは引っ越す前、二世帯住宅だったときのもう一つの玄関で、今は使わず自転車置き場になっている。この木は塀を押しているので、塀が倒れると厄介。樹勢を弱める必要もあって一気に小さくした。
お隣さんは「いつも紅葉を楽しませてもらっています」といってくれるが、落ち葉の迷惑は言わないから、本音を忖度しなくてはならない。切るほうにいくのは、過剰な自己規制かもしれず、これが殺風景な街並みにつながっているかもしれない。
2018-02-12 ニンニクと野沢菜
毎年、休憩には庭でお茶を飲みながら、世相や政治、教育、未来のことまで雑談する。
今回はいじめと子どものスマホなど。
お茶を飲みながら我が家の白菜、大根に話が及び、木の陰になって育ちが悪い、といったらハナミズキと山茶花を切ってくれることになった。
見積もりでは桜とモミジだけだから、サービスである。
桜と違って自分でできないこともないから、あとで一人でやろうと思っていたが、プロにやってもらったら早いしきれい。
2018-02-12
この山茶花が
2012年まで庭を真っ暗にしていたことは、今では信じられない。
2018-02-12
山茶花、ハナミズキも終わり
「これだけ切っておいたら来年は剪定しなくて済みますね」と言われた。
「金木犀が軒にかかるんですけど、来年、金木犀だけやるといくらくらいかかりますかね?」と聞くと、
うーん、と考えて「枝がトラックに乗るようだったら、今切っちゃいましょうか」と片づけが終わったのに、再開、二人で切ってくれた。
2018-02-12
すっかり予定外の木まで切ってもらい、帰りには大根と白菜を持って行ってもらった。白菜は開いているから葉が緑で硬いだけでなく、葉の間に落ち葉や土が詰まっている。包みを開いてがっかりされないか、ちょっと心配。
翌朝も満足感が続く2012-02-12
一人きりになって、庭を眺めると、しみじみとした満足感。
この満足感は何だろう?
・今日は久しぶりに朝から1日家にいて、彼らの作業中は私も草取りをしてきれいになったこと、
・気になっていた桜がすっきり、あと2年は頼まなくてもいいこと、
・サービスで他の木も切ってもらったおかげで菜園の日当たりがよくなったこと、
・二人の職人への感謝、
・フキノトウやチューリップが芽をだし春が近づいていること、
などいろいろ考えられるが、一番は、庭そのもの、ひいては7年前に周囲の反対を押し切って一世一代の勝負に出て、訳あり物件として買ったこの家への満足感だろう。
補助金申請の時は、12月から区役所と連絡を取り、直前には下見に来てもらい、写真を撮り、書類をそろえる。さらには「道路にはみ出ている部分は、切るのが当たり前だから補助の対象になりません」などと現実的には算定不可能な嫌みも言われ、実際(数字根拠不明に)減額される。
今日はすっきり、私と職人さんだけで日程を決め、書類の必要もない、気持ちのいい日だった。
これもしみじみとした満足感の原因だったかもしれない。
千駄木菜園 総目次