2024年11月18日月曜日

植物色素クリプトキサンチンとカプサンチン

 急に寒くなって来た。

11月17日、都心で24度、季節外れの陽気。
今日から寒くなっていく。
2024₋11₋18
ようやくパプリカも1つだけ色づく気配。
この肉厚、甘い大型ピーマンは、長期間畑を占領するため、今年は鉢1つと日の当たらぬ庭の端に2株だけ。

色の成分はカプサンチンcapsanthin。
我々、イオンチャネルTRPV(バニロイド受容体)研究者になじみ深いカプサイシンcapsaicin が唐辛子の辛味成分であるのに対し、カプサンチンは色の成分である。名前が似ているのは、両方ともトウガラシ属の学名Capsicumにちなむから。

構造も全く違い、前者が共役二重結合が長く続くカロテノイドであるのに対し、後者はバニロイド誘導体で色はない。

秋になって緑のクロロフィルが分解されてきたのか、カプサンチンが蓄積されてきたのか、どちらかだろう。いずれにせよ、一つの色素の化学変化で色が変わっていくわけではない。
すぐ隣は温州ミカン。
昨年217個もなった反動で今年は少ししか生っていない。

柑橘類のだいだい色の成分はβクリプトキサンチンで、これもカプサンチンと同じカロテノイドである。

甘夏も色づいてきた。
昨年56個だったが、今年もそれくらいはあるだろう。
3つ目の柑橘は不知火。
デコポンの栽培品種名であるが、発育不足か、デコはない。
2022年2月に植え、3回目の秋、今年はじめて実をつけた。
まだ緑のうちに落ちたり割れたりして、残っているのは9個しかない。
木が小さいから9個でも多いくらい。来年もっと成長することを期待している。

柑橘類にはクリプトキサンチンの他にノビレチンというフラボノイド色素も含まれているらしいが、両者の比率は知らない。
健康ブームでフラボノイドという単語が世間では実力以上に取り上げられている。

そもそも植物の色は多くの色素が混じったものであり、絞り汁をクロマトグラフィーで展開すれば多くの色素帯がみえる。
フラボノイド、カロテノイド、など語尾のoidは「類」という意味である。世間がありがたがるフラボノイド(アントシアニン類とフラボン類)などはクロロフィル類と同様、微量成分まで見れば多くの植物に含まれていて、「体にいい」と売り込むほうも喜んで買うほうも、どっちもどっちである。
こちらも昨年363個なった反動で少ししか生っていない。
鳥に一つ齧られてから慌ててネットを張り、それ以降の被害はない。

柿の色も、βカロテン、クリプトキサンチンなど、カロテノイドである。
この日は柿9個とった。

先日サツマイモを収穫したあと、5番畝は春キャベツ、6番畝は玉ねぎを植える予定。
今日は昨日から一転、小雨で寒いから柿を取っただけで何もせず、こたつでこれを書いた。


2024年11月9日土曜日

ラッカセイ、里芋、サツマイモを掘る


2024₋11₋06
ラッカセイがいつまでも青々して光合成しているように見えるので収穫が遅れた。
過去9回の収穫日は、
2016 10.26
2017 10.31
2018 10.29
2019 11.04
2020 11.03
2021 10.15
2022 10.11
2023 10.16
2024 11.09
年によってずいぶん違う。

2024₋11₋06
「抜いたまま畑で乾燥」と書かれているが、鳥、ネズミなどに食われそうな気がして翌日鞘をとった。
2024₋11₋08
落花生の後にはレタスとホウレンソウの予定
2024₋11₋08
ことしは従来のものに加え、オオマサリを3株だけ植えた。
豊作とは言えないが、味見、節分豆まきの分はとれた。
従来種 800グラム 3.5リットル
オオマサリ 158グラム 0.8リットル

里芋も収穫。
2024₋11₋06
9株のうち3株掘った。
種芋は昨年収穫の自家製種芋と、スーパーで買った食用芋の二種類。
番号をつけたていたが、どれがどれだか分からなくなった。

里芋はサツマイモなどと違い、掘ったらすぐ食べたほうが良いらしい。
これは腐りやすいということなのか、新鮮なほうがおいしいということなのかよく分からない。保存がきかないことが、東北地方で里芋を使った芋煮会が始まった理由という。

ま、とにかく一度に全部掘らず3株だけにした。

サトイモ過去ブログ
20240521 サトイモが発芽、サツマイモにネズミ、ジャガイモは花
20231201 里芋は名前通り古い作物か

サツマイモも掘った。
2024₋11₋07
品種はすべて紅はるか、だったような気がする。
昨年同様5,6,7番畝を使用。
2024₋11₋07
7番畝はマウンドを盛って植えたりしたが、日照など条件が違い過ぎてデータにならない。
5番畝がいちばん日当たりがよく、6番は前の家と生垣の陰、7番は柿の木の陰でいちばん日当たりが悪い。
2024₋11₋09
午前中でかけている間、次女と妻が掘ってくれた。
2024₋11₋09
5番畝 25本植えて芋がついたのが14株、3.18kg
6番畝 24本 6株 1.68kg
7番畝 18本 3株 0.67kg
つまり合計67本植えて23株にしか芋ができず、総量は5.53kgであった。

これは不作だった昨年より悪い。
サツマイモは2020年からだから5年目。
 2020年 3番畝 13本 収量測らず
 2021年 1番、5番畝など 28本 収量測らず
 2022年 5, 6, 7番畝 111本 22.3kg
 2023年 5, 6, 7番畝 77本 6.5kg
 2024年 5, 6, 7番畝 67本 5.5kg

サツマイモは連作障害がないと言われるが、来年は場所を変えてみるか。

サツマイモ過去ブログ

2024年11月5日火曜日

素人にイチジク栽培は無理

イチジクに対するあこがれのようなものがあった。
ふつうの果物にない、宗教性、歴史性が感じられる。
また長野の実家のまわりでも見なかったし、もちろん作ったことがないことも、憧れた理由の一つだ。


また、私の最も好きなパンは、チーズと乾燥イチジクの入ったパンである。
一見欠点のような甘味酸味が薄いというのも、パンだけでなく料理にも使えそうな発展性を秘めている
2022‐09‐29

初めて植えたのは2017年3月、上尾セキチューで買った苗(fig-1)。しかし実が生り始めた2020年9月、カミキリムシで枯死した。
その後、2021年6月、道灌山通りの三菱パークマンションの建設で立ち退いた人が路上に「ご自由にお持ちください」と書いた鉢を置き去りにした。しかしイチジクと思われなかったのか誰も持って行かず、数日後私が2本とも引き取った(fig-2, fig-3)。
そして2022年2月、退職前、伊奈町のコメリでまた1本苗を買った(fig-4)。

つまり1本枯れたにもかかわらず、3本も狭い庭に植えていた。
拾った苗は翌2022年の夏秋に実を付けた(上の写真)が、やはり手狭であるため、1本(fig2)を抜根した。

残った2本(fig3、fig4)のうち、拾ったほうfig-3は2023年10月にカミキリムシにやられ、一命はとりとめたが患部から上を切断したため無残な姿となった。
2023₋10₋01
イチジクfig3に巣食っていたカミキリムシの幼虫。
虫体は白くて大きい。
カミキリムシの恐ろしさは、幼虫が葉を食わず幹を食うため、木を枯らしてしまうことだ。

そして2024年、4番目のイチジクfig-4が実をつけた。
一番まともに大きな実をいくつもつけていたのに、またカミキリムシにやられた。
2024₋09₋29
イチジクfig4の幹から出る虫の糞。
ああ、またか。
ネットを見ると、糞が出ている穴に針金やピンセットを差し込み、中の虫を殺せとあったので、新しい糞が出るたびに針金を突っ込んでいた。

しかし、糞の噴出はなかなかやまない。
これらが成虫になったときが恐ろしかった。カミキリムシはイチジクだけでなく柑橘類や他の果樹も襲うという。長野でもリンゴの木にいたし、防除用の白い薬液を幹にこってり塗っている桃の木を見た記憶もある。

いま千駄木菜園にある夏ミカン、温州ミカン、育ちつつある不知火、せとか、にカミキリムシがついたら泣いてしまう。
残念だけどイチジクを諦めるしかない。

糞を見つけて1か月たった。
2024₋10₋30
これを切るのか、惜しいなあ、と切るかどうか迷いながら毎日眺めていたら、食べごろのイチジクが鳥に食われていた。
2024₋10₋30
イチジクの敵はカミキリムシだけではない。

理由は省くが、鳥からの防御はミカン、柿よりも難しい。
踏ん切りがついた。
2024₋11₋03
根元から切ろうと思って分け入ったら新しい糞が噴出されている。
ますます諦めがつた。

2024₋11₋03
最後の雄姿
向こうの夏ミカンより高く、我が家では一番背が高い。

2023₋04₋12
昨年はこんなに小さかったのに(右の塀際)、夏2回でずいぶん大きくなるものだ。
柔らかい茎でぐんと伸び、そのあと木質化する。
・・・・・・
切断した。
2024₋11₋03
切断面。真ん中に虫の穴が開いている。
乳状の樹液がにじみ出る。
この独特の匂いがカミキリムシを呼ぶのだろうか?
この匂いのないミカンなどに来ないことを願う。

いままで庭でカミキリムシの成虫は2種類、幼虫も2種類みた。
これらがイチジク限定、レッドロビン限定の種であることを願っている。

2024₋11₋03
こんなに実が生っていたのに。

2024₋11₋03
抜根。
まわりはサトイモとかラッカセイとか所狭しと植わっているので作業に気を遣う。
2024₋11₋03
糞の出ていた横穴で切断したが虫はいない。
いくら針やピンセットを刺しても殺せないわけだ。
幼虫は竪穴の奥のほうに引っ込んでいるようだ。
探すために輪切りにしていくと居た。

2024₋11₋03
レンガの幅は60mm
虫はずいぶん大きい。
いままで糞が出る横穴一つに対し、幼虫1匹いると思っていたが、この穴の数に対し2匹しかいないところから、幼虫はいくつも横穴を開けるのかもしれない。
2024₋11₋03
大きなほうは頭を切断してしまった。
長さ6センチ近くあった。

過去のイチジクブログをもう一度読んで追悼とする。

2024年11月2日土曜日

柿に防鳥ネットを張る。鳥は甘さが見えるか?

外で鳥がギャーギャー鳴いている。
またこの季節がやって来た。不思議と夏は来ない。

昨年は柿と温州ミカンをやられた。
色づいてきた柿の木に来たのだろうか?

声だけでムクドリ、ヒヨドリ、ツグミのいずれかを判断する能力はない。
2024₋10₋28 15:43
今年は残暑が長かったからか、柿はまだそれほど赤くなっていない。
15:44
しかし覗くと一番赤いものを食べられていた。
もちろん鳥は色が分かる。
さらにいえば、ヒトは色を識別する錐体が3種類(R、G、B)だが爬虫類と鳥類はRGBに加えて紫を感じる4つ目の錐体がある。
様々な色の識別は3種類で十分だと思っていたが、それはヒトの可視領域(波長360~800nm)の話で、RGBの外にある光は感知できない。鳥は4つ目の紫担当錐体で紫外領域(波長300~330nm)も見えるらしい。

(哺乳類も4種類あったが、初期の種の多くは夜行性だったため退化して2種類となった。しかしヒトは昼行性になったため、R担当錐体からG錐体を作り出した。だからRGの分離が不十分で、色盲となる人も出る)

15:45
夏ミカンは襲われていない。
色づいていないし皮が厚いからな。
実際、温州ミカンは色づくと食べられる。

とにかく柿の木をネットで覆うことにした。
1.5mx5.0m(6.0m?)を2枚縫い合わせ、さらに2つに折って1辺を縫い頭巾型にしたもの。
昨年はテグスを張ったのだが効果がなかったから、今年はすっぽり覆う。

16:08
その前に木を小さくせねばならない。徒長枝や、実のついていない枝を切った。
枝葉は、まだ甘くするのに光合成しているだろうから切りたくはないのだが。

16:22
ネットをかけようとするが思ったより難しい。
棒(園芸用支柱)で持ち上げたり引っ張ったりするのだが、うまくいかない。
腕は疲れるし、イライラするし、暗くなってくるし、もうやめたくなった。

しかしネットに紐をつけて他端を棒に結び、その棒を向こう側に放り投げ、支柱を引っ張ることでなんとかかぶせた。
17:02
下はフキ、サツマイモなどがあるのだが、もうぐちゃぐちゃに踏みつけてしまった。
それでも何とかめどをつけて、この日は終了。

2024₋10₋29
翌日、完全に覆った。
幸か不幸か、全然生っていない枝があるので、それらを包む必要はなく、またそれらはネットの抑えになった。

2024₋10₋29
一息入れて枯れかけたインゲンをみたら実が生っていた。
やはり猛暑のときは花がついても実らないのである。

2024₋10₋30
初収穫。
昨年は363個もなったが、今年はその反動で不作。50個くらいかな。
ところで甘いだろうか?

可視光線以外も見える鳥なら、わかるだろうか?

血中のグルコース濃度を赤外線で非侵襲的に見る方法がある。これは組織を透過できる1500nm より長い赤外線を照射し、グルコースで吸収された後の散乱光あるいは透過光を測るものだが、変化率は最大でも0.4%に過ぎず、鳥でも全部同じものに見えるだろう。

と、ここまで書いて糖度計というものがあることを思い出した。
2015年8月、前職のとき「子ども大学」で小学生を50人くらい引き連れて上尾の三井金属鉱業・研究所を見学した。
ここは測定装置をいろいろ持っていて、電子顕微鏡で昆虫などを見たりしたあと、みんなでみかんの糖度を測った。一人一個ずつ測って、数値が高いものと低いものを箱に分け、そのあと皆で味見すると、確かに合っていた。

糖度計も赤外線を当てて返ってくる光の減衰を見る。光は散乱することを利用し、受光機は入射光の反射に妨害されないよう斜めに置く。ここで重要なのは果物の糖度は血液の糖分よりはるかに高いことだ。
文科省公式サイト、日本食品標準成分表(2023)

血中グルコースが100㎎/100mLすなわち0.1%であるのに対し、糖度10度の果物はその100倍、全量の10%が糖分である。
食品分析表を見れば、柿は
 水分 83.1(%)
 タンパク質 0.4
 脂質 0.2
 炭水化物 15.9
(うち糖質 13.3)
 有機酸 0
 ミネラル 0.4

つまり柿の内部は、ほとんど糖分である。赤外線の吸収はほとんど糖質によるから、血糖の測定よりはるかに簡単である。

しかし鳥は赤外線を照射できないから、太陽光線の赤外線の吸収分を外から見なくてはならない。外見(すなわち可視光線の反射像)が全く同じ柿二つの、赤外線像を比較するのは、2つの波長で像を見ることになる。これはプリズムでも使わないかぎり、同じ目では不可能である。

だから赤外線が見える鳥でも甘さは検知できない。もっとも一部の鳥が見える赤外線はかなり可視光線に近い800~900nmであり、これは内部まで浸透しにくいだろう。

2024₋10₋30
ふとイチジクを見ると食われていた。

しかし、食べごろになると突つかれるところを見ると、内部の糖をみるのでなく、熟したことによる外見の変化を見ているのだろう。

それが人間の目と比べどちらが正確か興味がある。

ところで鳥は渋柿を食べるだろうか?
渋柿を外見で区別できたら大したものだ。


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