玉ねぎは昨シーズンに続き2回目の挑戦。
前回2021₋2022年は9月8日と10月11日、ポットに種をまいた。
泉州黄玉ねぎ、ダイソーで2袋100円だった。
ちなみに日本で栽培される玉ねぎの主流は「黄玉ねぎ」といわれる系統。1871年アメリカから札幌農学校に導入された春まき栽培のイエロー・グローブ・ダンバースが「札幌黄」という品種になり、秋まき栽培用は1885年に大阪へイエロー・ダンバースが導入されて「泉州黄(せんしゅうき)」になった。(danversはマサチューセッツ州の地名)
白玉ねぎの代表「愛知白」は、フランス系のブラン・アチーフ・ド・パリが導入されたもの。
玉ねぎは中央アジア原産、古代エジプトの壁画にも残っているほど古い野菜だが、日本に来たのは明治初期と、意外と遅い。いっぽう、易水にねぶか流るる寒さかな(蕪村)とあるように長ネギは昔からあった。
さて、私の手による最初の種まき栽培は、発芽はするが育ちが悪かった。
「草丈20‐25センチになったら10センチ間隔で定植」と書いてあったが、とてもそこまで成長せず、数センチの細いまま11月19日定植。
しかし、全く育たず、冬には霜柱で根が浮き、さらに育たず、成長の始まる春にはほぼ全滅した。
ホームセンターで苗を買ってくれば簡単なのだが、やはり種からやりたい。
今回2022₋2023は、昨年9月12日と10月12日に種をまいた。
しかし相変わらず育たない。細くて短いまま12月に定植。
しかし今度は前年の反省から黒マルチを張り、ビニールのトンネルで保温してみた。
相変わらず細く短いままだったが、春になって少しずつ大きくなってきた。
出来は悪いが玉ねぎらしい。
2023₋06₋05
株間(マルチ穴間)15センチ
(向こうにマルチなしの玉ねぎがみえる。)
一般に、畑の7~8割の株で茎が倒れたら収穫という。
大分前から倒れているが、まだ球が小さく十分できていないので粘っていた。
しかしこの日よく見たら、一番大きいものが割れたようになって傷みかけている。
右上の一番大きな株を強く押すと柔らかい。傷み始めか?
マルチ穴の直径は5センチ
よく見れば葉が枯れ、これ以上粘っても光合成による肥大化は望めない株もある。
大きさはバラバラ
大きいもの、茎が倒れているものから順次抜いていくという手もある。
しかし面倒なので全部収穫することにした。
早くスペースを空け、枝豆をまきたいということもある。
ここは9月から大根の場所だから、もう余裕の日数がない。
すべて引き抜いた。
比較的大きくて茎が折れているものと、小さくて茎が立っているもの2群にわけた。
小さいものは別の場所に再び植え、大きなものだけ収穫、乾燥に回した。
2023₋06₋05
乾燥法をネットで見れば、根を切り、葉は15センチほど残して切りそろえ、縛って軒先などに吊るして干すという。
根を切る理由は、空気中の水分を吸収して乾燥が遅れるから、と書いてあった。しかし、これはおかしい。根の上皮細胞における水分子の移動は完全に受動輸送であり、その向きは内外の水分量による。空気より細胞内の水分のほうが多い。つまり、根が取り込む水分より根から出る水分のほうが多い。だから根を切る理由は、単に切り口を作ってそこから水分の蒸発を促すことにあると思われる。
どっちでもいいと思ったが、台所にゴミを持ち込むこともないので根を切って干した。
2023₋06₋05
こちらは黒マルチを掛けなかったグループ。
左は、食べた玉ねぎの根っこの部分を捨てずにうめたもの。
黒マルチをしなかった群は生育が悪い。
しかし(1)昨秋、比較的育ちの良い苗を選んでマルチかけしたこと、(2)日当たりが厳密に同じでないこと、などから黒マルチが良いとは一概に言えない。
2023₋06₋05
食べた玉ねぎの根っこから再生したもの。
1つから4-5つの株が伸びている。
この形はエシャロットにそっくりである。
エシャロットはラッキョウと似ているが、ラッキョウより球形で、超小型の玉ねぎに近い。
5月に葉が倒れ、4-5つくらいに分けつしたものを保存、9月に一つを埋めると芽が複数出て、冬から春にかけてその一つ一つが太って、また4₋5株に分けつする。つまり、埋めた玉ねぎの根っこは、エシャロットとそっくりの育ち方をしていた。
2023-05-29
そのエシャロットは玉ねぎに先立ち収穫、片付けた。
こちらは長野から持ってきて長年千駄木で作っている。というか丈夫で多年草のように勝手に生えてくる。
(紛らわしいエシャ「レ」ットは生食用に軟白栽培されたラッキョウの商品名)
エシャロットの学名は Allium cepa L. var. aggregatum)で、予想通り玉ねぎ(Allium cepa)の変種である。一方、エシャ「レ」ットすなわちラッキョウは同じネギ属だが種が違う(A.chinense)。
ノビルは玉ねぎの原種かと思ったらA. macrostemonで、別の生物種のようである。
普通のネギはA. fistulosum。
今回はじめて、これらネギ類はヒガンバナ科ということを知った。私はユリ科と習い、ずっとそう思っていた。確かにネギなどヒガンバナ科の植物は1990年代までは形態学的に分類したクロンキスト体系でユリ科に属していたが、近年ゲノム配列から分子生物学的に分類するAPG体系が主流となり、それによってヒガンバナ科はユリ科から独立した。
葉っぱが筒状ではないニンニクやニラは、同じヒガンバナ科であってもネギ類と属が違うかな、と思ったが、調べるとA.sativum, A. tuberosumで同じネギ属であった。
面白いことにハナニラは別の属。有毒だからニラと間違えないよう庭に生えていたものをすべて抜いたほど、ニラにそっくり。だからニラと同じ属と思ったが、別だという。分類学は奥が深い。
生物学も職業的な研究者でなければ、標本採集と分類が一番面白いのかもしれない。昭和天皇や上皇様のように。
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