2018年11月3日土曜日

養源寺、本の縁日、山口晃

しのばずくんの本の縁日に行ってきた。
近くの養源寺で、前回(今年の4/29)で第20回というのに、行くのは初めて。
今まではダンスの競技会や練習を優先していた。

2018-11-03

かつては広かった境内も明治以降、売ったり貸したりしたのだろう。
両側に家がせまり普通の私道のような砂利道が「養源寺参道」となって残っている。
そういえば、2011年、このすぐ近くの家を見に来た。
千駄木でまともな家を普通に買うことは不可能で、借地権付き中古住宅を探していた。住友不動産に連れてこられたのが、バス通りに面した鉄筋3階建ての家。
建坪、部屋数は十分あったが、庭が小さく、地代が高く、契約しなかった。
その地主が養源寺だった。
このお寺は参道の両側だけでなく、相当、地面を貸しておられるのではなかろうか。

なお、このとき、埼玉から来たついでに以前広告で興味をひかれた、別の千駄木の家を見たいといったのだが、「あれはちょっと問題ある家なので・・・」と断られた。しかし後日、別の営業の人に「見るだけでも」とお願いしたのが、今住んでいる家である。

ちなみに、その時見た家は、結局誰にも売られず、元の表札のまま、つい最近まであった。しかし現在取り壊されて、8階建てのマンションになろうとしている。地主は養源寺のままだろうか。

さて、本の縁日。
なるほど、縁日だ。
古書店14、出版社20、キッチンカー3


縁日だからイベントもあり、投げ銭ライブをやっていた。
本堂の石段上がステージにちょうど良い。
作家を招いたトークショーもあるらしい。
昨年は泉麻人が来たらしいが、今年の人は存じ上げない。

奥のほうにキッチンカーなどが出店していて、フランクフルトやスープ、飲み物を買った人が「休憩所」の芝生に座っている。

古書店は、持ち込み量が限られているから、店主の思いが出る。

古書店は店舗と同様、本だけでなく、CD,パンフ、絵葉書なども持ち込んでいる。
雑貨の店、似顔絵コーナーも。
美しい女性が多い気がする。偏見による錯覚だろうか。
いや、明らかに電車でみる20人と、ここの20人は違う。
写真にとれないのが残念。

養源寺は二回目だが、
神社と違ってお寺はなかなか入りづらい。
この機会に墓めぐり。
西村茂樹 明治の思想家。
佐倉の人。1875年から天皇、皇后の進講を約10年間務め、東京学士会院会員、貴族院議員、宮中顧問官、華族女学校の校長をつとめた。

西村は宮本百合子の母方の祖父である。
彼女は子供のころ、近くの千駄木保健所通り(当時はこんな通りの名ではなかったが)の中條精一郎邸(→)から母親によく連れられて墓参りに来た。
お参りするより、隣の牧田牧場の牛を見るのが楽しみだったという。

なお、明治の千駄木は藪下通り沿いにも養豚場があった(吾輩は猫である)。
牧田牧場はどこにあったのだろう、端に沿って歩く。
南東の隅に行くと、境界の壁の切れ目から、少し低くなったところに千駄木西林町会の表札が見えた。

稲葉正勝
家光の乳母となった春日局の子であるため、将軍と乳兄弟である。

安井息軒
江戸末期の儒学者。
 養源寺の墓地は気持ちいい。

 隣接するアパートや、民家に住む人も、気持ちいいだろう。

墓めぐりしている人は誰もいない。

さて、人でいっぱいの本の縁日に戻る。
きょうは古書店14、出版社20が出店しているらしい。
出版社は小さい個性的なところばかり。
新刊書は消費税分だけ安いが、書店への卸値を考えれば、2割引でもいいのではないか?
作家がサイン会をしているところもあった。
千駄木団子坂上の10坪出版社、羽鳥書店が自社の「すずしろ日記」を売っていた。
山口晃サイン入り。
迷って1冊だけ買った。

「山愚痴屋」というサインは全く普通で、何かイラストでもあれば嬉しかったのだが。

昼時になったので帰宅。

すずしろ日記を買うのに迷ったのは、山口晃が東大出版会のPR誌「UP」で2005年から4年半にわたり連載していたとき、一度読んでいたからである。
部屋を探したら、破いてとっておいたものも出てきた。

さて、買ったばかりの本を読み始めて驚く。
アトリエ探訪と称して、彼の豪邸の鳥瞰図があった。
2009年ごろのすずしろ日記には、千駄木アトリエ坂からリヤカーで谷中に引っ越した図があった。短期間にこんなに金持ちになったのだろうか? 
いや、13年もたっている。それにしても、こんな家、谷中にあったか? 売れっ子だからしょうがないか・・・・
いろいろ思いながらも、ちょっと遠い存在になってがっかりしたら、続きの右のページで、すべて妄想だったことが判明。
ホッとしたけれど、いつかこうなっても不思議はない。

2013年、千駄木のケーキ屋、タバーンで山口晃の食レポコメント(新聞切り抜き)をみて、家で話したら、この年、建築学科に進んだ次女が、デッサンに関する彼の講義を受けたという。彼女は彼のことを全く知らず、かっこいいおじさんぐらいにしか思っていなかった。居眠りしていたらモデルにされ、黒板に書かれたそうである。
なんで写真を撮っておかなかったのだ、と彼のファンである父親は残念がったが、とっくに最終回も終わった後だった。

2018年、この日の夜、娘が帰ってきたので、山口晃すずしろ日記を買った話をしたら、普段めったに話をしないのに「見せてあげようか」と当時のデッサン8枚ばかり持ってきた。何回かさぼったそうである。
1枚1枚、丁寧に赤ペンでアドバイス、ときにイラストで説明していた。よくみる彼の字であったが、もちろんサインはなかった。
40人ほどの学生に毎週毎週、いい点と悪い点を指摘していて、優しくて真面目な先生だな、と思った。


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