2017年3月4日土曜日

『モーツァルトのむくみ』の続編

拙訳『モーツァルトのむくみ』(2011)の原著は、
P.A. Mackowiakの
『 Post Mortem: 
Solving History's Great Medical Mysteries 』
である。


彼は2013年に続編を出した。
タイトルは
Diagnosing Giants: Solving the Medical Mysteries of Thirteen Patients Who Changed the World
と、内容をズバリ具体的に表している。

Post Mortem同様に、歴史上の人物の病気、事故の状態、死因を、手紙や資料から推理した本。
歴史人物の病気を扱った本については、新規性のない暇つぶしの大衆的雑学本はいくらでもあるが、このような専門家が大勢で議論して作ったものはあまりない。ゆえにマニアックに医学専門的な推理を喜ぶ人にはいいが、ワイドショー的に単純な病名だけ求める人には難しくて合わないだろう。

さて議論された13人とは、
1. Tutankhamen
2. The Buddha
3. Caligula
4. Saladin
5. John Paul Jones
6. Goya
7. Bolivar
8. 'Stonewall' Jackson
9. Lincoln
10. Darwin
11. Lenin
12. Mario Lanza
13. Eleanor Roosevelt

死因を推定するだけでなく、残された資料から、どんな状態だったのか、現代医学なら何ができるか、が書かれる。
例えばリンカーンは至近距離で頭を撃たれても、医師団の手当てで7時間ほど生きていた。2011年頭部を同様に撃たれ酷似した状況に陥いるも、見事復活した下院議員のガブリエル・ギフォーズと比較している。

ブッダの章ではアーユルヴェーダや、断食の医学、死ぬ前に食べたキノコの話など興味深い。ツタンカーメンはミイラの調査で新たなことが分かったのかな。ダーウィン、レーニンも面白そうだ。
翻訳してみたいけど、どこか出版してくれるところはないかな。


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