2022年7月13日水曜日

65歳からの職探し7 選挙投票所のアルバイト


私のPCのネット画面は、旅行会社、不動産会社の広告が良くでてくるが、アルバイト募集の広告もある。そのなかに7月10日参議院選挙投票日のアルバイトがあった。

あまり選挙に関心ないが、内部からの景色に興味があったので応募。
A区の選挙管理委員会がW人材派遣会社に補助員の派遣を依頼したようだ。

マニアルが送られてきたが、イメージがわかない。
大きな声では言えないが、選挙は義務ではなくて権利だと思うのであまり行かない。
ただ近年は、投票所(千駄木小学校)がすぐそばなので、庭に出たついでに行くこともある。それでも様子がわからないので下見に期日前投票に行った。鴎外記念本郷図書館の二階。
「期日前」などは特別のことと思ったが簡単だった。いまは全投票の3割近くが「期日前」らしいが、投票期間の長さ、簡単さを思うと納得する。
怪しまれない程度に係の人の動きを見て帰ってきた。

さて、当日7月10日。
6時半集合だから5時半に家を出た。
途中、千駄木小学校にいってみた。
2022‐07‐10 5:30
千駄木小学校
戸が閉まっていて準備状況は分からず、「入り口」「出口」が貼ってある以外、何の変化もなかった。

地下鉄に乗って本日の就業場所の某小学校に到着。
思ったより早くついて、改めて立候補者を見る。
議員数削減だけのワンイシューを訴える候補がいたら入れるのだが。
(NHK党はワンイシューだが、まじめにやらないから残念だ)
6:10
きょろきょろしながら体育館のほうに行くと区の職員らしき人々が働いていた。
アルバイトで来た旨を告げると紅白の横断幕で区切られた一角で待機するよう言われる。
入ると卓球台のような大きなテーブルがあり、乱雑に散らばった書類のほか、真ん中に大量のお菓子が置いてあった。
壁には連絡先やら集計表、注意書きなどさまざまなものが貼ってあり、若い職員がさらにいろんなものを貼り付けていた。

その中の1枚に「本日の男女別有権者数」というのがあった。A区全体で男女合わせて471,496人、この第26投票区は7,428人。それを立って見ていた彼の上司が「えっ、47万もいるの? 区の人口は53万くらいだよ。年寄りが多いんだなぁ」とつぶやかれた。
きけば投票所は区全体で62か所あるらしい。

やがて同じく派遣されてきたアルバイトの女性2人を含め、いろんな人が到着、6時半になって皆そろったらしく、年長の区職員のかた(責任者?)があいさつされた。

8日(金)に安部元首相が殺害され、翌土曜の期日前投票はある投票所で前回の二倍近い投票者が来たため、ひょっとしたら忙しくなるかもしれないという話をされた。

区の職員は全部で8人(うち女性2人)
アルバイト 3人
選挙管理人 1人、選挙立会人3人、警察からの派遣1人
合計 16人

打ち合わせの間、6:35に1番乗りの住民が現れた。
投票開始の7時前には見える範囲で少なくとも5人はいらした。

7時前だか後だか、投票箱をあけて一番乗りの来場者二人と管理人立会人が中が空であることを確認していた。


我々アルバイト3人は名簿班となり、来場者を真っ先に迎え、整理券の本人確認をする係となった。
PCは2台で、15分ずつ交代で休めという。すなわち、30分仕事して15分休憩となる。
PC画面とバーコードリーダーの使い方を教わる。
女性お二人は経験あるらしく全く初めては私のみ。

区の職員8人の仕事は
・会場整理 2人、
・東京都投票用紙交付 2人
・比例区投票用紙交付 2人
・予備 2人
である。
しかし、交付するブースも基本一人だから8人のうち6人はぶらぶらしている。

これは不測の事態に備えるためで、整理券をなくした人や忘れた人に対応したり、介助が必要な来場者に付き添ったりする。
それでも多いと感じるが、大学でのOSCE試験、センター入試、ワクチン接種など失敗が許されないイベントは大目に配置するものだ。失敗を許さない(恐れる)社会は無駄があっても仕方がない。

管理人と立会人はもっと無駄に見える。なんせ4人が長テーブルに並んで座り、何もしないでおしゃべりしながら離れた前方を見てただ座っているだけ。これも規定にあるから仕方がないのだろう。
彼らは区の職員と知り合いらしく「今年はエアコンが入ってよかったですね」と話していることから、何度もこの会場で仕事しているらしい。地域の民生委員とかそういう人がなるときく(ここはどうか知らない)。あとで4人とも整理券をもって我々のところにいらして投票された。

7時から始まった投票は、混乱もなく過ぎていく。
バーコードを読むと有権者情報が出て、名前と性別、年齢を確認する。「○○さんですね」といって整理券に鉛筆でチェックを入れ、「ではあちらに進み、投票用紙を受け取ってください」などというのだが、口が回らずよく噛んだ。いろんな言い回しをしたが、「これをお持ちになって3番にお進みください」と案内するのが一番楽だった。
1分間に4人くらい処理できるから、2台で最大8人ずつ進む。
通勤ラッシュのような集中はなく、行列が少しできてもすぐに解消する。

1時間ごとに職員がいらして投票者を確認、出口にかかげた紙にその時点での投票者数を、前回の数字も併せて記入されていた。
まずこちらが「お次ぎのかたどうぞ」とか「おはようございます」とか挨拶するのだが、それにこたえてくれる人、「ご苦労様です」と仰る方もいる。本人確認するときも「はい、そうです」と言われる人から、ぶすっとしている人までさまざま。

初めに思ったことは、実年齢よりずいぶん若い人、老けている人がいること。
女性に関しては、妻やダンスの関係者、かつての職場の人を思い浮かべ比較したり、男性に関しては自分の風貌を思ったりする。もちろん過去、未来の自分にも思いをはせる。

18歳、19歳の人もいれば、90を超えた人も3人受け付けした。
お一人で私の前に立った93歳の女性には思わず尊敬の気持ちで驚いた表情をしてしまうと、彼女もにっこりした。

昼食は教室棟で、天重が用意されていた。ふたを開けると野菜はなく、海老が2本。てんやの天丼、観光地の天丼はごくたま食べるが、こういう、町の食堂の出前のような天重は数十年ぶり。割りばしの住所を見るとすぐ近くのようだ。同じ値段ならコンビニ弁当のほうが良いが、何十年も慣例となっているのかもしれない。

ちなみに夕食は17時半、発泡スチロール容器に入ったうどんだった。温泉卵1つ、ちくわ天1つがついていた。休憩時間は30分から40分用意されていたが、話す相手もいないので体育館に戻った。

30分ごとにある休憩は体育館隅の紅白横断幕の中に入るのだが、見ず知らずの職員の方々とおしゃべりすることもなく、座っている時間も10分もないので落ち着かなかった。外に出てストレッチなどして早めに名簿確認ブースに戻っていた。

職員の方々は我々と比べ交代の休憩時間が長いため、ほとんどの人は眠っていらした。彼らの会話から、たとえば前回の選挙では昇進試験が近かったらしく、勉強されている職員もいらしたようだ。
目の前のお菓子やお茶も最初に「どうぞご自由にお取りください」と言われたような気もするが、もう一度進められたら食べようと思い遠慮して手を出さなかったら、若い人が多いせいか午後にはなくなった。

名簿確認業務に話を戻すと、ずいぶんいろんな方がいた。
杖を着いて来られる方、車いすで家族に押されている方、突然我々の鉛筆を取り上げて何か書こうとされ家族にたしなめられる方。目の見えない方、代理投票をしてもらう方。ふだん街では見かけられない人々が投票にいらした。

家族連れも多かった。家に置いておけない小さなお子さんを連れてこられる人が多いが、中学生くらいのお子さんを連れてきて選挙、投票の様子を教えている母親もいた。
しかしある男性が若い女性を連れてきた。彼女は男の投票を覗き込んでいたが、どう見ても子供に見えない。投票者以外の大人が会場に入っていいのだろうか?

一度パソコンのシステムがフリーズしたが、再起動したら復帰し、事なきを得た。
ここで投票した区民は2980人ほど。3人で対応したから一人1000人くらい見たことになる。
安部元首相襲撃の影響はなく、前回より良いが前々回より悪いという程度。

終了時刻の20時近くになると、職員が4人真っ暗な外に出られた。ちょうど休憩時間に当たっていたので拝見した。4人のうち責任者らしき人が1秒ごとに音、10秒ごとに音声の出る時計を持っておられ、残り1分になると隣にいた職員が鐘を高く振り上げ大きく鳴らし始めた。このとき一人駆け込んできた人がいた。20時ちょうどになると責任者は2つある校門のほうに「ゲートを閉めてください」と叫び、この日の選挙は終了した。

このあと撤収。
椅子を片付けていたら、背後で声がしたので中央をふりかえると、ずっと座っていらした選挙管理人の方が選挙終了の宣言をされていた。
そのあと全員が競争のように椅子、机、横断幕、養生シート、さまざまな貼り紙、記載台などを片づけ、移動した跳び箱、マットを戻したりして20:45に終了した。毎回同じことをしている前回、前々回と比べ30分も早く、異常に速い片付けだったそうだ。

さて、アルバイトとしての総括である。契約条件を見ると
・就業時間 06:30~15:30
・休憩時間 12:00~13:00
・時給: \1,340/時 
・8時間を超える割増時給 \1,675/時
とある。

選挙終了して後始末はほぼ21時まで仕事はつづいた。
休憩時間がよく分からないので、1時間だけにすると最大値として
 1340*8 + 1675*5.5=19932
ほんとにこんなにくれるのかな?

長時間であったが、いつもより30分早く起きただけだし、夜の帰宅もダンスの練習の日と同じだった。
一方、菜園アドバイザーは午前中だけだが、通勤時間もあるし、農作業は疲れて帰宅するとぐったりして1日潰れる。しかし都の最低賃金にほぼ等しい時給1050円の3時間だから3150円。同じ1日仕事だが賃金に6倍も差がある。選挙アルバイトは高給である。

しかし、また是非やりたいという仕事でもない。
作業は簡単だが特に面白くないし、単発アルバイトは、仲間と親しくなれない。
区の職員の人とは一切私的会話はしなかった。
同じ派遣アルバイトの二人の女性(50代?と70代?)とは仲間意識があったが、休憩時間も別々でほとんど話す機会もなかった。ふっと来場者が途切れた時に交わした会話から、一人は赤羽と志村の間に在住、今度オーストラリアに行かれるというのと、もう一人は墨田区錦糸町在住、元公務員をされていたということが分かったくらい。

でも一度やってみて、よい経験にはなった。
少なくとも投票所に親しみがわいた。

地下鉄おりて家までの暗い帰り道、遅ればせながら参議院の意義について考えた。
議員の資質も、言っていることも衆議院と全く変わらない。存在価値がまったくない。
これなら昔の貴族院のほうがまだ意義はあったのではないか?

むかし読んだ誰かの主張を思い出した。
参議院は都道府県知事47人と日本学術会議から53人出してもらって100人とする。
地方の声、政治を離れたアカデミックな意見が反映され(理想通りなら)、なにより衆議院とは違う人たちの集まりになり、少しは二院制の意義が出る。
「良識の府」という言葉に少しは近づくだろう。

メリットは他にもある。なにより多額の税金がかかる総選挙がいらない。
また選挙がなければ今の国会議員がしている活動の大半はなくなるのではないか?
彼らは支持者の会合にはしごして意味のない挨拶をするのが仕事で、国のことを真剣に考えることもない。 
この選挙なしの100人は国会審議だけがの仕事であり、たいてい他に仕事と給料があるのだから、国会議員としては無給で構わない。
とにかく今の国会議員は税金の無駄そのものだ。

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