2025年2月15日土曜日

ゴボウの品種、コバルト早生、滝野川と堀川


2025₋01₋25
初めてゴボウを作った。
まともなのは1本、あとは鉛筆よりは太いという程度。
失敗と言える。

キク科だからナス科(春夏)、アブラナ科(秋冬)ばかりになる家庭菜園では連作障害を避けるという点で貴重な存在となる。
しかし、特に食べたいとも思わないし、収穫で掘るのが大変そうだから今まで作ったことがなかった。

2023年度は野菜40種類作った。ほかに、何も手をかけない果樹4種、放置芳香多年草(シソ、ミョウガなど)9種が存在する。また、過去、試しに作った野菜12種。全部で65種の経験がある千駄木菜園としても、ゴボウは避けてきた存在だった。


しかし妻がスーパーで買ってくるのが面白くない。
彼女が買ってくるのは、ゴボウ、レンコン、アスパラガス、もやし、カボチャ、キノコ類、バナナ。あと年中使う玉ねぎ、ニンジン、ジャガイモ、レタスも1年分作れないので買ってくる。

2024年、千駄木菜園12年目にして初めて作ることにした。
種はダイソーでインゲンと一緒に2袋110円で買う。
表のタイトルが作物名とか品種名とかでなく
「掘り取りかんたん つくりやすい短形ごぼう」
と書いてあるのがおかしい。
裏に小さく「品種 コバルト極早生」とあった。
コバルトとは何だろう? ブルーは最もゴボウから遠い色だが。

ゴボウの品種など知らないので調べたら、昭和44年放射線育種場(常陸太田市)において、柳川中生ゴボウの種子に放射線を照射、3年目に短形の変異を発見、さらには二毛作も意識して、以後10年にわたり選抜して「極早生、短形」を得たという。

すなわちコバルトというのはガンマ線を発生させるCo-60のことだろう。
かつては自然発生する突然変異体から新種を得たが、1950年代から放射線育種が盛んに用いられた。弥生の東大農学部にも放射線照射の小さな圃場があり、野球でグランドに行ったときなど、注意書きの看板を覚えている。

柳川中生ゴボウは白肌で、尻部までよく肉がつき、栽培日数180日を経過しても、肌のヒビ割れが少ないということで現在も栽培されている。

2024年6月7日、種まき
12日、発芽
春植えジャガイモの後だったから少し遅かったかもしれない。
2024₋09₋29
落花生に押され、手前にゴボウと人参が少し見える。
ゴボウは成長度に差がある。

この畝は後作がなかったのでそのまま放置していたのだが、年が明けて見ると葉が枯れていた。
そこで掘ったのが冒頭の写真である。
細いけれども、まあ食べられた。きんぴら、豚汁などにして食べた。

ところで、ゴボウといえば滝野川である。長さ約1 m、直径2 - 3 cmで細長く、鬆(す)が入りにくいという。
江戸時代初期、滝野川村で鈴木源吾という人が品種改良し、元禄年間から栽培が始まった。中山道沿いだったから、種は全国に広まり、北信濃の常盤ごぼう(飯山)、村山ごぼう(須坂)なども滝野川を親とする。現在のごぼうの9割は滝野川ごぼうから派生したと言われるが、肝心の滝野川では戦後、絶えた。

しかし北区立滝野川西区民センター(よくダンスの練習でつかう)の開設時に、地元住民が特色ある地域活動をしたいと、滝野川ニンジンとゴボウの復活を提案、1996年、群馬県甘楽町の有機農業研究会グループの協力を得て復活させた。
1998年からは北区立滝野川紅葉中学校でも生徒会で栽培を始め、いまも給食委員会24名で栽培を続け、地区の他の小中学校にも広まっているという。http://edoyasai.sblo.jp/article/189564514.html
掘るのが大変なところが、他の野菜より「やった感」があっていいかもしれない。

いっぱんに東日本では滝野川のように根が細くて長い長根種が主流で、関西地方では、堀川ゴボウに代表される太くて短い短根種が多いらしい。

堀川ゴボウは京野菜の一つで、ふつうのゴボウ(滝野川ごぼう)を一度掘り起こしてから、再び植え付ける。直径5 - 6 cmと太くて短く、数本に枝分かれして、表面はひび割れて内部に空洞ができるので、空洞部分に肉などを詰めたりするらしい。
掘ってまた埋めるというのは、ゴボウは二年草だから葉が枯れても根が生きているからである。

(いまの堀川ゴボウが滝野川由来としても、始まりは滝野川より早いかもしれない。滝野川以前から、つまり平安時代からゴボウは食用になっており、滝野川もそれらから生まれたからである)

ほかに大浦ゴボウ(千葉、直径10センチにもなる)、明治ゴンボウ(岡山)などが知られる。

花は同じキク科のアザミに似ているようだが、私は見たことがない。
そういえば、温泉地の土産物にある漬物のヤマゴボウはモリアザミの根らしい。

ゴボウは北海道には自生するが、日本へは平安時代に中国から薬草として伝わったとも言われる。しかし食用とするのは日本くらいで、外国人は木の根っこと思うらしい。シーボルトが種を持ち帰ったが、普及しなかったというし、また太平洋戦争の捕虜にゴボウを与えたら、木の根っこを食わされたと虐待ととられ、関係者がB、C級戦犯にされたときの証言にもなったという話がある。

正月料理に何でゴボウが出るかというと、地道に根を張り力強く成長することから「延命長寿」、また土地に根付く姿から「家族が土地に根付いて安泰に暮らせますように」という願いもあるらしい。もちろん、この時期に調達しやすい食材に、めでたい理由をつけて楽しむに過ぎない。

それより思うのは「ごぼう抜き」という言葉の違和感である。駅伝などのごぼう抜きは、どうみてもゴボウを抜く様子からは遠い。
2025₋01₋26
白菜

ゴボウの面積当たりの収量(食卓などへの貢献度)は、白菜や大根と比べるとかなり低い。
それでも、昨年の種はまだ残っているので今年も再挑戦しようかな。


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