2021年5月11日火曜日

鉄道によって分断された西日暮里、田端

ゴールデンウィークはずっと籠っていたが、久しぶりに外へ出た。
今までずっと気になっていたが、一度も歩いたことがなかった所へ行く。

西日暮里から田端、上中里、王子まで続く線路の向こうである。
西側は開成の稲荷坂から与楽寺坂、大龍寺など近所だから何度も歩き、このブログに何本も書いているが、線路の東は初めて。

2021‐05‐08 11:07 西日暮里駅
山手線は駅前広場がないところも多い。
タクシーは道路で客待ちする。
上を左から京浜東北線、新幹線、上野東京ラインと並行して走っている。
 
その新幹線と上野東京ラインの間に、民家も商店もまったくない、殺風景な道がある。
歩いているのはたいていガード下の自転車置き場に行く人。

2時間まで無料、12時間ごとに100円、って安い。
知らなかった。
1日100円なら使おうかな、と思ったが、先日自転車を2台廃棄したところ。

11:13
自転車置き場からずっと登り坂、上を走っていた上野東京ラインと並び、田舎のように電車が横をすぎる。
すぐ陸橋がある。
橋の下を左から、すなわち北から東へ、線路が大きく曲がってくる。

グーグル地図を見れば、鉄道密集地帯。
左から京浜東北線と新幹線、上野東京ライン、日暮里舎人ライナー、京成本線。
これらを串刺しにするように、その線路が東西に通る。
一番下の緑は地下鉄千代田線、右下の隅に常磐線が見え、その線路はそこに合流している。常磐線と東北線を結ぶバイパスに見える。

たいてい線路は都心から放射状に広がるものだが、ここは外からきて逃げるように都心からそれる。
すなわち、鉄道が新橋、上野始発だったころ、東北線や常磐線をつくった私鉄の日本鉄道が敷設した。上野駅で扱っていた貨物は1890年に開設した秋葉原(貨物駅)まで行けたが、都心はそれ以上用地を拡張できず、そこで1897年田端から東へ、隅田川まで貨物線を敷いた。土地は十分あったし、そこから水運で都心も行けた。常磐線からの石炭の貯蔵庫にもなった。いまも常磐線南千住駅に隣接した隅田川駅という広大な貨物駅として存在する。

陸橋の上から昔の隅田川貨物線を思っていたら新幹線が通った。

11:16
この辺りはJRの用地が田端まで続く。
家では邪魔者雑草のオキザリスも、これだけ広いところに群生すれば観光地の芝桜に負けない。雑草も場所を選べば鑑賞される対象になる。
写真左(東)のイトーヨーカ堂ネットスーパーは食品ターミナルで店舗ではない。

田端駅が近づくとすこしずつ民間商業地も増えてきて、マルエツがあった。
久しぶりに見る大型スーパー。
こんなのが線路の西側にあれば便利だし楽しいのだが。

西日暮里から上中里、王子まで、このあたりの線路は広くて、踏切、陸橋もほとんどないから完全に地域を分断している。同じ町内でも互いに全く別の世界のように感じているのではなかろうか。

ちなみに荒川区西日暮里は1,2,5,6丁目が線路の東、3、4丁目が西。
行き来できるのは日暮里駅(御殿坂)と西日暮里駅(道灌山通り)しかない。
西側は坂と寺社が多く、東西で街並みが全く違う。

歩いて15分で田端駅に着いた。
11:22 田端大橋。
西日暮里から王子まで4駅の長い距離で、信じられないことに、田端大橋が唯一の東西交流路といえる。(上中里駅南の車坂跨線橋は中州に渡るためのもの)

私が駒込神明町すなわち本駒込に住んでいた1977年、この重要な橋は片道1車線の狭い橋だった。
しかし渋滞がひどく北側に新しい橋ができたのが1987年。
改札口に近い古い橋は撤去せず、歩行者専用の「田端ふれあい橋」と命名され残された。
触れ合うこともないほど広い。
いや、イベントでふれあえるほど広い。


本駒込にいた時はたまに歩いて14分の田端駅を使ったが、一度も東のほうに行かなかった。しかしどっぷり埼玉に暮らしていた2000年6月、23年ぶりに田端に来て、初めて東へ行った。
11:24 東田端ふれあい館。
ふれあい橋を下りたところにある。
当時ダンスを始めて1年、各地のダンスパーティに恐る恐る行った。埼玉よりレベルが高いとされた東京。期待と不安で田端まで来たのだが、この地味な公民館会場は狭くてほとんど踊りたい人がいなかった。

11:26
東を見ると上野東京ラインはかなり遠くを走っていた。
京浜東北線と上野東京ラインの間は二本の大河に挟まれた中州のようになっていて、住所は東田端。
京浜東北線の西は台地になっていて田端。上野東京ラインの東は田端新町である。
新町というのは以前田んぼだったからだろう。

何本もの線路が並ぶ広大な田端操車場はここからさらに北西だが、行けば千駄木の家が遠くなる。
自転車で来ればよかった。
ここらで引き返すことも考えたが、もう二度と来ることもないと思うので、さらに歩き続けることにした。

(続く)

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