2017年2月5日日曜日

高すぎる薬価3・オプジーボ

小野薬品のオプジーボ(ニボルマブ)の薬価を考えてみよう。
薬価基準収載は2014年9月2日。
薬価算定根拠はサムスカと同じく意味のない原価計算方式、外国参考価格なし。
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000131478.pdf

この時の審議で使われた数字は全く不明な「製造原価」のほかに
2㎎/kg(体重50㎏で100㎎)を3週間に一回投与、
対象患者数はピーク時(2年目)470人というものであった。
適応は切除不能な悪性黒色腫。

ついた薬価は100㎎で729,849円。
年間1265万円(体重50㎏の人)。
年間売り上げ予測はピーク時で31億円である。一人当たり年間659万円であった。
「年間に最大31億円だけ回収させてくださいよ」というお願いに国は
「まあ、いいでしょう」と返事をした形。

しかし実際は3㎎/kg、2週間間隔となり、
50㎏の人で年間2846万円、70㎏なら4269万円である。

患者の自己負担には毎月の上限額(例えば報酬月額51万円未満の人は44,400円、年間53万円)があるから、公費や健保の負担が増え続ける構図になっている。それも恐ろしい額である。

一方、オプジーボの売り上げは、適応が非小細胞肺がんにも広がったこともあり、うなぎのぼり。
薬価を決めたときにピークとした31億円など問題とせず、事実上の初年度2015年度の売り上げ(2016年算出)は212億円、2016年度見込みで1260億円と急増した。

薬価の改定は本来2年に1度で、2016年4月は前年度決算が間に合わずに免れ(本来は150億円超えたら対象となる)、次回は2018年4月だが、「高すぎる」という批判から先の11月16日、政府は引き下げを決定。しかも上限の25%を上回る50%減であった(この2月から適用)。このルール無視には製薬協が反対声明を出したが、諸外国から見ても高すぎることから(100㎎でアメリカ30万、イギリス14万円)仕方のないことかもしれない。

私事だが(ブログだもの)、この薬はどんどん適応がんを広げるだろうと確信して小野薬品の株を4227円で買った。今2412円。
株価が私の値に戻るかどうかは分からないが、適応がん種が増えること、売り上げが伸びること、健保を圧迫すること、は間違いないだろう。

0 件のコメント:

コメントを投稿