2017年2月5日日曜日

高すぎる薬価4・ではどうしたら良いか

製薬会社には正常な経済活動として、自信作の良いものを作ったなら高い薬価をつけさせたい。

自由につけてもいいと思う。
一方、患者、国の立場からすれば、薬は安い方がいい。

ところが今のシステムは問題がある。
原価算定方式は類似薬がないわけだから希少疾患の薬が多く、高い値がついたあと患者が増える。類似薬効比較方式は、ほんの少しでも優れていれば高い値が付く。

後者の例を挙げると、高価な既存の分子標的抗がん剤で延命効果が11.8ヶ月のとき、新たに13.2ヶ月のものを出したら高い値が付く。統計的に有意差があったとしても、実感として、あるいは本質的な意味で差があるだろうか。平均値でこの差なら、高い薬を飲んでも早く死んでしまう人もいるし、安いものでも長く生きる人もいる。そして必ず死んでしまう。しかし患者家族は高いものを使うだろう。これではどんどん薬が高くなる。

ここでイギリスのNICE(国立医療技術評価機構National Institute for Health and Care Excellence)を参考にしたい。
コストとメリットを考えて推奨するかしないか決める。例えば安いジェネリックがあるとき、新薬を出しても大した変化がないのに価格が高ければ推奨しない。この判断を基に、健保適用(保険償還)の可否が決定される。
(わが国でも昨年からHTA(医療技術評価)が試験的に導入されたと聞くが、どうなったのだろう。)

こうすれば、製薬会社は自由に価格を設定できるとしても、絶対に使ってもらえる価格(イコール有効な割に安いもの)に値付けするだろう。

特許が切れればジェネリックの安いものが出回り、その後大して進歩がない薬なら、たとえ新薬であってもジェネリック並みの値段を付けざるを得ない。そうすれば、価格競争が起きて、良い薬が出ても薬価は安くなっていく。

製薬会社は高い薬を作ろうと思ったら、迷うほど多数ある成人病予防薬のような薬ではなく、本当に必要な薬を目指すようになるだろう。山ほどある似たような薬が淘汰され、必要なものだけが残る。

効果がないのに副作用がないという理由だけで昔承認されて惰性で使われている薬は、すべて廃止されるだろう。例えば、痰を分解するという酵素製剤なのに飲み薬で処方する、意味不明の去痰薬リゾチームとか、白内障へのグルタチオンとか、効くかどうかわからない薬は一気になくなる。

製薬協や医師会は反対しそうだが、そうせざるを得ない時代になってきた。薬価が年間1千万を超えるような医薬品が増えて、(破たんしないよう)健康保険料をどんどん値上げして行ったら、年金と同じように健康な人が脱退してしまうのではないか? 

むしろ病院にかからなかった人にはご褒美として年末に還付金を出したらよい。
そうすればセルフメディケーションが進み、無駄に病院にかかる人は減るだろう。その還付金原資のためにも、薬剤費の高騰は抑えねばならない。

0 件のコメント:

コメントを投稿