治療薬を飲んでいるがしょっぱいものが好きで、症状は改善しない。そこで私が「もう味噌汁は飲まない方が良い」といったら、妹が「味噌は発酵食品だから体にいいんじゃないの?」といった。
ちょっと議論したが、平行線で打ち切った。よく考えると妹のように思っている人が多そうだ。
発酵食品が良いとは誰が実験したのか?
何を持って根拠とするのか?
巷に氾濫するそのての本は読んだことはないが、どうせ
1.発酵食品はタンパク質や多糖類をアミノ酸、単糖に分解しているから吸収に良い
2.味噌、醤油、納豆など発酵食品を多く利用する日本人は長寿である。
といったところだろう。
しかし、
1については、消化酵素があるのだから、別に口に入る前に分解しておく必要はない。彼らは一方で繊維質も大事だというから矛盾する。
2については、半分腐ったような発酵食品からワイン、チーズまで、未開民族から都市住民まで、ほとんどの民族が発酵食品を食べている中で、どのように発酵食民族を選んで寿命を比較するというのか?
証明するには、遺伝背景、ライフスタイルが全く同じ集団の中で、発酵食品を多く食べる人と少ない人の寿命に差がなくてはならない。もちろん労働、睡眠時間とか、住居地、年収、発酵食品以外の食生活とかに差はあってはならない。それを長期にわたってコントロール、追跡する。
そんな難しい研究は聞いたことがない。コーカサス地方の人が長寿というが科学的なデータを見たことがない。もし長命としてもヨーグルトを食べるからとは限らない。
長期間コントロールを要する寿命ではなくて、体に良いということだ、というなら、もっと胡散臭い。
体に良いとはどういうことか?
どんな食品でも、それに含まれる栄養素が不足しているときは、体にいいだろうが、足りているときにその食品を取っても何の益にもならず、むしろ害になる。
「体に良い食品」という言葉ほど、非科学的なものはない。
テレビの健康番組に出ている専門家?は、なにも疑わない素直な視聴者に合わせてしゃべっているのか、あるいは本人も信じているのか、ちょっとわからない。
しかしその番組を信じている人が多数というのは真実である。
彼らは珍しい鮒ずしがあるというだけで滋賀県のお年寄りが元気(ひいては長寿)だとでも言いそうである。
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