2023年10月15日日曜日

CBD:カンナビジオールや大麻は有害か?

茨城県の高校から薬物乱用防止講演を頼まれた。

阿片、覚せい剤、大麻などの話をする。何回もやっているので、とくに準備する気がなかったが、近年話題になっているCBDというものを今回初めて話そうと思った。

CBDはカンナビジオールcannabidiolの略で、大麻の有効成分THC(テトラハイドロカンナビノールの類縁体、すなわちカンナビノイドの1つである。
(大麻には142種以上のカンナビノイドが含まれているとされる)
THCは、大麻取締法で規制される葉と花穂、根に含まれ、化学物質としては向精神作用があるため麻薬及び向精神薬取締法(旧麻薬取締法)で規制されている。いっぽう、CBDは大麻取締法とは関係ない茎や種子から抽出され、物質としても規制されない。

THCは脳内のカンナビノイド受容体CB1に結合し、快楽、幻覚、鎮静、抗不安、鎮痛などの薬理作用を発揮する。CBDも似た構造をしているが、CB1への親和性は低く、薬理作用は弱い。しかし、両者を併用すれば、CBDは、代謝酵素、排泄システムなどでTHCと競合するからTHCの作用を高めると考えられる。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jalliedhealthsci/9/2/9_112/_pdf

最近、CBDはリラックス作用、ストレス緩和、睡眠導入などの効果があるということから話題を集め、一部の人々の間で使われている。

法規制がないことからネットでも買えるし、ドン・キホーテでも売っているらしい。
講演で話すからには、実物を見ておかなくてはならない。

渋谷東急本店手前のドンキは、板橋、足立、品川とともに23区内に4つあるメガドンキの一つ。
平日昼間だが、外国人観光客含め、結構混んでいた。
エスカレーター前の売り場案内のパネルには「CBD」の文字もあり、有力ジャンルになっていることが分かった。
しかし売り場階に行ってもなかなか見つからず、係の人に聞く。「CBD」という言葉がすぐ通じ、人気のあることが分かる。

2023₋10₋11 16:40
CBDリキッド商品はガラスショーケースの中に入っていた。
何の法的規制もないのに、管理されているのは、やはり大麻成分だからか。タバコやアルコール(未成年の使用は禁止)よりも厳重である。

1mL、510カートリッジで8000円だから高価である。
やはり食品、嗜好品というより医薬品の値段だ。

見れば商品によって「CBG優勢」とか、「CBN優勢」とか書いてある。
それぞれ、Cannabigerol、Cannabinolのことで、ともに大麻成分だが規制はない。

こちらはグミ。お菓子売り場のように自由に手に取れる。
5粒で税込み1711円だから、一粒350円。
1粒にCBD 25㎎、CBN 5mg含んでいる。
規制はないはずだが、18歳以上の使用を勧めている。(Must be 18 or older)

グミの上に歯ブラシのようにCBD商品がぶら下がっていた。

使い捨てCBDペン
(充電不要、使い切り電子VAPE)
500回吸引。1800円~。
裏を見れば、CBD 4%含有 14グラム。
ということはCBD総量は
14000*0.04=560㎎
500回吸引ということは、1回あたり1㎎ほど。
グミ1つ部分と同じくらい吸入するには25息吸いこめばよい。
ということは20回楽しめるということだ。

CBDを買う人はサプリなんか好きなんだろうな。
私はサプリよりアイスクリームやポテトチップなど食べ物のほうが好きだ。
値段も安いし。

どうせなら、CBDよりはっきりした作用のあるTHC、大麻のほうが興味がある。
しかし禁止されている。

麻薬、覚せい剤、大麻など薬物は怖いとされる。
怖さには2つある。
生物学的怖さと社会的怖さである。

生物学的怖さというのは依存性により抜けられなくなってしまうとか、幻覚により暴れるとか、アル中のように身体的作用が出るとかである。
しかし大麻を少々使っても大した害はないだろう。逮捕される芸能人など、全く健康状態に問題はないように見える。酒やたばこのほうが有害だと思う。

怖いのは社会的なほうである。
これはサイエンスではなく、世論で決まる。
有名人なら、誰にも迷惑かけていなくても、少しでも使ったら異常な制裁を受ける。
芸能人なら仕事がなくなり、人生が変わってしまう。
メディアの扱いは「いじめ」でないかと思う。ニュースは娯楽番組である。騒ぎは大きければ大きいほど良い。

スポーツ選手なら本人だけでなく、連帯責任を取らされチームが出場停止になったりする。
日大アメフト部は8月に一人が大麻で逮捕され(覚せい剤もおまけでもらったという)、その後、さらに使用者が広がり、この秋のリーグ戦は出場させてもらえなくなった。
覚せい剤は暴力団が関わり、プロが密輸、販売に関係することが多いが、大麻は海外で合法であることもあり、日本の一般人が現地で使用したり、こっそり持ち帰ることができる。

カナダやタイでは合法だし、アメリカも首都と9つの州で合法である。
サイエンスというのは世界中で通用するはずだが、場所によって違うというのは、サイエンスではない。体に悪いというより、社会の問題、その社会の人々の思い込みということである。

タイでは大麻を観光資源としてみなしている。海外でふつうに使えるということは、つまり十分な人体実験がなされていて、問題ないということだ。
だから個人的にはそれほど悪いと思ってはいない。
人前で吸われない分、たばこより無害だと思う。

しかし高校生相手にどう説明するか?
大人なら、歴史、国際状況、脳内での生理作用など、事実を淡々と話し、大麻をやるかどうか、悪いか悪くないかは聞き手に任せたいところだ。しかし高校生はまだ教科書に書いてあること、先生の言うことが絶対正しいと思っている。暗記教育とその仕上げとなる定期試験の弊害である。
うかつなことは言えない。
自分の考えをそのまま話したら先生に怒られそうだ。日本の社会は怖い。

個人的には、無害としても、こんなものに高いお金を払う人の気持ちが分からない。自分ではやる気はないし、今の日本社会では、子どもたち、家族にも絶対やらせない。


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