2017年11月11日土曜日

銀杏の果肉を食べてみた

60を過ぎて、あと何年生きられるか分からない。
死ぬ前にやっておきたいこと。
まだ経験していないことは山ほどある。
ピラミッドも見たことないし、インドにも行ってみたい。
でももっと身近なところで未経験なものを片付けたい。
いつでもできると思っていると、明日にでも死んでしまうかもしれない。

あの、強烈な臭いの、銀杏の果肉は食べられるか。
どんな味なのか?
経験してみたい。

ちょうど今日、調べ物で東大に行った。
自転車で正門から入るとイチョウ並木が色づいていた。
あの臭いもする。
雄性木だけのほうがいいのではないかとも思ったが、やはりこの臭いも秋には必要だ。

総合図書館正面に向かう道に行ったら、びっしり実が落ちている。
 ここは人通りがそれほど多くなく、朝早かったので、まだそれほど踏まれていない。
しかし、これでは踏みたくなくても踏まないと進めない。
プチプチ音がする。
臭いをかいでいるうちに、数年に一度くらい思う「果肉への挑戦」が頭に浮かんだのである。
ここで挑戦しないと、未経験のまま死んでしまうと思った。

調べ物が終わった夕方、植え込みのほうの、そっと落ちて、踏まれていないものを採取した。
傷ついたものは、拾うのも臭いからね。

帰宅。
ちょうど妻は飲み会で、今夜は一人だけ。
よかった。彼女がいたら怒られる。
いったいどんな味なのか、毒はないとしても(あるとすれば職業がら耳に入っているはず)、不安なので万全の態勢で臨む。
水を入れたコップ、吐き出すマグカップも用意した。
でも内心は、それほど抵抗ない。
貝や虫、内臓など動物性珍味を食べるほうがよっぽど勇気がいる。

いよいよ銀杏の実、まず、なめてみる。
味はしなかった。傷がないから臭いも気にならない。
そっとかじるとすぐ種にあたった。果肉が思ったより薄い。
なめると甘酸っぱい。
ん? 旨いじゃないか。
子どもの頃、遊びながら食べたナツメの味を濃くした感じ。ちょっと渋みがあるかな。
でも野生で手に入る実にしては旨いほうだろう。
臭いは確かにあるが、不思議と耐えられないほどではない。
しかし飲み込むことはせず(それほど果肉はない)、大事を取って吐き出した。

この時点で部屋は相当臭かったはずである。
しかし大量の臭い分子は口から鼻腔に入り、G-protein coupled receptorsに結合、脱感作desensitizationさせてしまった。

吐き出して落ち着くと、もう一度試したくなった。今度はもっと噛んで味わおうと2個目を口に入れた。
しかし、噛むうちに、甘酸っぱい味に加え、渋みと臭いが強まってきて、とても飲み込む気になれず、また吐いてしまった。
3個目も同様だった。たぶん、しかめ面だったと思う。

もっと果肉が多ければ、食用に工夫してもよい。
臭いの点で室内での加熱調理は難しいが、庭で干してドライフルーツにするとか・・・・。


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8 件のコメント:

  1. 銀杏の果肉には、bilobol(フェノール脂質)が含まれていて、これが強い皮膚粘膜刺激性を有するため、口腔粘膜の炎症(かぶれ)がおきます。また、ギンコール酸(アルキルフェノール)も含まれており、これがアレルギー反応を引き起こして、果汁が接触した皮膚粘膜に炎症を起こすことも知られています。
    実際に、東大構内の銀杏の実を果肉ごと口に入れて食べてしまった東南アジアからの留学生が、その後、口の中がただれた!と騒いだのを私は目撃しています。ご注意を!

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  2. なるほど。神経毒のような受容体に作用するものばかり考えていました。しびれるような渋さを感じたのはbilobolだったんですね。ありがとうございます。それにしてもその留学生はよく口にしましたね。ドリアンと同じだとでも思ったんですかね。

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  3. https://fb.watch/bF1kKx4Kgs/
    Facebookで偶然見つけたのですがこの動画の3:24から銀杏の果肉を豚肉と調理して食べる動画がありましたので取り急ぎコメントいたしました。

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  4. あの銀杏は青いですね。臭いは同じかな? ほかの食材も気になりました。

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  5. 動画冒頭のセンマイは強烈ですね(笑)
    青い銀杏の味はこのサイトにありますよ。
    https://www.outdoorfoodgathering.jp/plant/gingkyo/

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  6. 臭いがない青いうちに食べてみようという発想はありませんでした。世の中にはいろんな人がおられますね。なかなか面白いサイトでした。未熟な果実の青酸配糖体アミグダリンとは青梅でしょう。

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  7. 青い銀杏のブログ主はあらゆるものを食材の可能性と捉えてる方の1人です。

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  8. 面白いですね。具体的でありながら冗長でない。臨場感があって、いくつも読んでしまいました。

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