12月29日、赤坂に来た。
赤坂見附から一ツ木通りを南下し、赤坂サカス、TBSをみた。
（別ブログ）
TBSの南を通る赤坂通りは、外堀通りと外苑東通りを結び、下を千代田線が走っている。
2020-12-29 11:35
TBSの真ん前にびっくりするほどの古屋があった。表札は古くないがひと気はない。
TBS東京放送一帯は近衛第三連隊兵営、近衛第二旅団司令部だったが、幕末は松平安芸守（浅野43万石）の中屋敷。道路側の一枚皮は町屋で、陸軍用地ではなかったのだろう。昭和平成の地上げバブルにも耐えたらしい。
和菓子の青野
創業1856年。豆大福が１つ260円くらい。
赤坂は和菓子の老舗が異常に多い。
古くからの花街だったからだろうか。
外苑東通りが近づくと上り坂となる。
乃木坂。
乃木会館は工事中
・ちょっぴり寂しい乃木坂・いつもの一ツ木通り、と歌われ、アイドルグループ名にもなっているが、あまりムードのない通りである。
坂そのものよりも地下鉄の駅周辺の地域として使われているのかもしれない。
坂名は自刃した乃木希典（1849 - 1912（大正元年）9月13日）夫妻の葬儀以降で、それまでは幽霊坂といわれた。
11:50 乃木神社
神社は思ったより広い。
神社境内は乃木邸跡地と思われているが違うだろう。
質素だった将軍の性格からしたら広すぎる。
明治天皇に殉死した後、その忠誠心に感激した国民が全国から訪れ、その数は日に日に、年々増えていった。そして夫妻の精神を後世に伝えたいという人々が神社創建を思い立った。大正8年、隣地（木戸侯爵邸の一部と一部民有地）を購入し、大正12年鎮座祭が行われている。
乃木邸を見学しようと思ったら、この日から年末年始休館だった。
彼は明治37（1904）年日露戦争の203高地から英雄になったが、この屋敷を買ったのはもっと早い。
明治18年、熊本の第11旅団長になり芝西久保から九州に赴任、明治20年1月ドイツ留学、21年6月帰国、今のTBSのところにあった近衛第二旅団長となる。
熊本から東京に戻るにあたり、勤務地の隣ともいえる、この地に移った。
ちなみに明治11年連隊長に補せられた歩兵第一連隊もすぐそば（現東京ミッドタウン）である。
柵の向こうにかすかに母屋が見えた。
以前一度か、二度見学したことがある。
はっきりしているのは1995年6月3日、青山通りのほうから南下、邸内を見学した。自刃当日に撮影した洋間での夫婦の写真ははっきり覚えている。建物内に入れたのか、庭から窓ごしに洋間を覗いたのか記憶はあいまい。
そのあと第一連隊（当時防衛庁）の前を通り、第三連隊の旧兵舎（当時東大生産研）の中を歩いた。
乃木神社の社務所で絵本を買っている初老の男性がいて、話かけたら文章を書いていると言われたのは、この時だったか別の時だったか。
11:53
閉館中でも柵の外から立派な馬屋がみえた。
帰国後、ドイツ留学時の給与精算で600円支給された。かれは国費で留学したうえに大金をもらっては申し訳ないと拒否したが、強く押し付けられた。これを家計に入れるのは釈然としないと、一円も残さず厩をたてよ、と命じたとか。100円もあれば家が建った時代である。
外苑東通りに面した厩の壁
最高のものを作ってくれたおかげで130年経っても立派
明治29年台湾総督に任命される。厳格な乃木は部下たちに清廉潔白さを求め、その軋轢から辞表を出す。強く慰留されたが明治31年台湾総督から帰ってから陸軍に辞表を出し那須に隠遁した。
もともと金銭に恬淡として周囲に施し、貯蓄もほとんどなかった。休職したことから家を売ることも考えたが周囲の説得で思いとどまる。
母屋は厩と対照的に柱も歪み縁側も朽ちていたらしい。
男爵になった時の恩賜金だけ国に帰そうと思ってとっておいたおかげで、家を立て直すことができた。新築された機能重視、ちいさな家こそ現存する乃木邸である。
11:55
日露戦後に伯爵、明治の顕官としては恐ろしく質素な母屋である。
大きな犠牲を出した旅順要塞攻撃の軍司令官としての能力は賛否ある。
司馬遼太郎は酷評した。
しかし並外れた清廉潔白、質実剛健ぶりについてはだれも異論ない。
息子は二人とも日露戦争で失ったが、明治天皇の希望で院長に就任した学習院では学内に住み、学生たちと寝食を共にした。
墓は青山墓地にある。
渡辺淳一「静寂の声」を読み直そう。
頑固な夫に従い、最後は自刃まで付き合わされた妻の静子にも光を当てた小説。
多分すっかり忘れているから初めて読むように楽しめるだろう。
乃木が29歳で就任した歩兵第一連隊の跡地はすぐそば。
戦後防衛庁となり、それが市ヶ谷に移転したあと東京ミッドタウンとなった。
12:03
防衛庁があった時、檜町公園は池の周辺だけだったが、建物が高層化され、緑地が広がった。芝生広場に屋外スケートリンクがオープンしていた。
2018年3月の雪の日、リッツカールトンでの結婚披露宴は檜町公園に面した低層階だった。
12:06 港区立檜町公園
第一連隊の前は萩の毛利本家下屋敷。
ビルの間に東京タワーが見えた。
ちょうどよい斜面の芝生の広場で子供たちが遊んでいた。
若い母親たちはみんな美人で金持ちにみえた。
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